ほんの数時間しか寝られず、6時に起きて7時過ぎのバスで羽田空港へ。いつものようにエアポートラウンジに赴きおしぼりで顔を拭きコーヒーを飲んでリフレッシュする。土曜日のせいか、このラウンジにも子供の姿が見られる。小松に向かうNH751便は満席とのことだが、割とスムースに搭乗。出発時刻の間際になった頃、客室乗務員が一斉に深々と頭を下げ始めたので何事かと思っていると、森前総理が乗って来る。家を出る前に見ていたテレビ番組に生出演していた筈だから、あの後空港に急行したのだろう。初めて見る本物は噂にたがわぬ巨体で驚く。別段偉そうでもなく、むしろ、過度に気を遣う周りに感謝しているようにも見える。首相在任中はあれこれと批判の多かった御仁だが、中曽根内閣の文部大臣を務めていた頃には、畏くも先帝陛下から何度も親しくお声をかけられるなど決して悪い人ではないのだろうと思う。そんなことを考えているうちに眠りにつき、気がつくと飛行機は小松空港に着陸。羽田空港の離陸ラッシュと、金沢県内の天候不順で到着が15分遅れた由。それでも、合流するカナダ人たちが着くまでには1時間近くある。到着ロビーのベンチに座って待つ。11時半頃にカナダ人たちと合流。社長にお会いするのは1年半ぶりで、仙台の温泉で背中を流して以来なので、向こうが覚えているかどうか不安だったが、会うなり「ミズノサーン」と握手してくる。「君の名前はベースボール用品と同じだから忘れない」のだそうな。今回は、同業他社の方と共同でアテンドしている関係で、今回は僕自身でアレンジすることは少ない。彼らのチャーターしたワゴンタクシーで金沢市内に移動して、「石亭」という料亭で昼食。古式ゆかしいつくりで、外人好みではあるが、連日会席料理のようなものばかりで飽きはしないだろうかとやや心配にはなる。食事後、六義園と金沢城を見学。加賀温泉に泊まる社長夫妻と別れ、金沢駅前の日航ホテルに落ち着く。立派なつくりのロビーだが、外人の対応に慣れていないのか、従業員がややまごついている。地方都市だから仕方がない、と言ってしまうと差別なのかも知れないが、いきなりアメリカ人が来て英語であれこれ言われても困ってしまうのは確かだろう。若いアメリカ人(前にも書いたが、会社はカナダにあるので彼らをカナダ人と総称しているが、社長を含めアメリカ人も多く勤務している)と共に市内を散策。雨は降っているが、商店街の歩道には屋根がついているので助かる。九谷焼のティーポット、要は急須を買い求め、他にも輪島塗やら地元の菓子やらを見て回る。「夕食はどうする?上司もいないんだから好きなもの食べようよ」と訊くと「韓国料理やタイ料理はどうだろう、何かスパイシーなのがいいな」というので駅近くの焼肉屋「京城園」に向かうことにする。やはり、連日の日本料理ラッシュにはやや辟易していたらしい。彼いわく、コリアン・バーベキュ?は初めてだとのことで「あれ?ソウルにもお客さんいるよね」と言うと、彼らとのディナーはいつもフランス料理になってしまい、地元の料理を食べる機会は今まで一度もなかったそうな。ともあれ、気に入ってくれたようで安心する。