「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」
『武道館』朝井リョウ


今年もあと僅か。
なんといっても、夏に3度目の転職をしたことが今年最大のトピックだったと思う。

転職を告げたとき、直属上長のその上にあたる事業部長から
「退職は承認せざるを得ないけど、どうしてそう決断をするに至ったのか」
と訊かれて、僕はハッキリとした理由を言えなかった。
ていうか、職場の不具合の原因が明確だというのならば、会社を変えるなどというドデカイ決断をするより前に、それを改善することを選んでいたと思う。社風はキライではなかったし、人間関係も悪くはないと思っていたから。

よく分からないのに、もっと分からない新しい会社に移るのは矛盾しているようだけど、あとになって考えてみると、自分で考えて自分で仕事を仕切る、自分の将来を自分で切り開くといったことが、あの会社ではとってもやりにくかったんだと気づいた。
言い方を変えると、いまの会社は人数も少ないし、社員ひとりにかかるワークロードは大きいといえば大きいんだけど、自分の判断で物事を決められる、自分のビジョンで仕事を描けることはとても大きな魅力なのだと思う。

さる知り合いには「プロ空港おじさん」なるホーリーネーム(?)を頂戴するほど、転職後は出張が頻繁にあって全国各地を回ったけれど、慌ただしいなりに充実した毎日だったし、この自分には。会社さえ替えて生きていかれる経験なり知見が、この歳になっても備わっているんだというのはひとつの自信にはなったと思う。

そして、前職退職時の有給消化中に、実家の母を連れて海外旅行に行かれたのも良かった。
この歳になると、親孝行したいと思ったところで、実際にはなかなかできるものじゃないから。どんな形であれ、足を踏み出す、実行に移すのが大事なんだと、今更ながらに思った。

今年の読書数は214冊にとどまり、200冊越えという年初の目標は達成したものの、例年に較べて集中力を欠いてしまった感は否めない。ブログ記事の更新も滞ってしまい、昨年の反省を生かせず仕舞いだったけれど、来年はなんどか改善したい。

今年読んだ本ベスト10(順不同)

  1. 『服従』ミシェル・ウエルベック・著
  2. 『トップリーグ』相場英雄・著
  3. 『聖の青春』大崎善生・著
  4. 『ナイルパーチの女子会』柚木麻子・著
  5. 『野村證券第2事業法人部』横尾宣政・著
  6. 『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』アンソニー・トゥー・著
  7. 『日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』門田隆将・著
  8. 『父・横山やすし伝説』木村一八・著
  9. 『福島第一原発事故 7つの謎』NHKスペシャル『メルトダウン』取材班・著
  10. 『武道館』朝井リョウ・著

今年も、むかしの友達と何度も会う機会を持てて、時間を割いてくれた人たちには感謝するほかありません。来年も、少しずつでもチャンスをつくりたいと思う。

僕はよく友人らの集まりの幹事役を引き受けるんだけど、趣味である写真撮影の要領が必要なんだと最近思うようになった。
たとえば、グラビアアイドルの写真があるとして、そこで読み手が必要としているのは、自分がその子と向き合っているかのような雰囲気であって、実際にカメラを構えているオッサン(カメラマン)は、そこに在ると分かってはいけない。
本当に写真の旨いカメラマンというのは、被写体の魅力を際立たせて、自分の存在を消しさえしてなお、自分の色を作品に残せる人のことをいうんだろうし、僕が写真を撮る時にいつも心がけていることでもある。
同じように、同期会や同窓会を開く時に一番大事なのは参加者が気兼ねなく楽しめることに存するのであって、自分の色を出す為に、俺が幹事なんだぞと自分を前面に出さずとも、自分の存在だけを出しゃばらせなくても、結果を手に入れることはできるのではないかと。

そしてそれは、幹事の仕事に限った話ではなくて、この浮世の諸々の事柄にも応用が効くんじゃないのかな、と思っている。もちろん、眼に見えないところでたくさん汗をかかないといけないんだけれども。

ともあれ、来年も多くの人と仲良くしてもらいたいし、僕が愛し僕を愛してくれる人たちの幸せをお祈りしています。

感謝をこめて

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