朝6時前に起きて身支度を整える。トランクから土産物を取り出し、今日の客先訪問に備える。9時前にホテルを出て、客先をいくつか訪問。待たされたりもするが、とりあえず要人とは会える。アポイントの時間の関係で、昼食を取り損ねる。関係会社のキャンティーンを覗くが、既に営業を終えている。隣接するカウンター・バーで飲み物だけ出すことが分かったのでトニック・ウォーターでお腹を膨らませるが、金額ピッタリのユーロを持ち合わせておらず、釣銭がセイファー・フランになってしまう。夕方も要人との面談を果たし、1日があっという間に終わってしまう。


ホテルに帰る途中、新興開発都市を車窓越しに眺める。一昨年も行ったピザ屋で夕食を取る。スパゲティ・カルボナーラを頼むと、焼きそばのような細麺が出てくるが、味自体は悪くない。ホテルで着替えて、チェック・アウトをする。僕自身の会計はスンナリ行ったが、同行者がなぜか昼食代を加算されている。今日は一日中外出していたのだからホテルで昼食は取れっこないのだが、カウンターのスタッフが何やかんやと言って埒が明かないので、僕がフランス語で怒鳴る。
「彼が食べたっていうのなら、彼がサインしたレシートを見せろ!さもなきゃ一銭も払わん!さあ見せろ!」
ようやく向こうが折れて一件落着。油断も隙もありはしない。空港に向かう。またここに来ることはあるのだろうかと、真っ直ぐな道を眺めながら考える。空港でチェック・インを済ませ、無事出国する。エール・フランス959便はほぼ定刻にボーディングを開始。手荷物の中身を検査されるが、やましいものは持っていないので忽ちに解放される。今回の帰路便はビジネス・クラスの席が取れたので、ゆったりと腰を下ろす。スチュワードも格段に愛想が良く、離陸前からドリンク・サービスがある。ジュースを飲み、ホッとしているといつの間にか眠りについてしまい、折角のディナーを逃す。

カルボナーラばかり注文するな―双雲流自分への小言
武田 双雲
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