朝8時起床。革命記念日なのでテレビではシャンゼリゼ大通りでの記念式典を中継している。今回は英国の近衛兵も初参加だそうな。チェックアウト前に車を出して、旧市場前のカフェで朝食。市場跡の、ジャンヌ=ダルクがまさに処刑された場所に建つその名もジャンヌ=ダルク教会を見学。1970年代の建立なので古びた町並みのなかで異彩を放つが、内部のステンドグラスは中世のものを他の教会から移したそうで美しい。スーパーでバターを買い、いまも小さく残る屋外市場でフランボワーズを仕入れてからホテルに戻り、荷物を積み込んで出発する。予定よりも出発がやや遅れ、12時過ぎとなる。高速に乗り、至って快調に飛ばしていく。途中、サービスエリアで給油したついでに昨日買ったバゲットを食べ、果物を頬張る。パリ市内に入ると、今日泊まるバルビゾンへ向かう道に迷ってしまう。ウロウロと走っているうちに喉が渇いたのでスーパーを探すが祝日なのでシャッターが下りている。ようやく小さな八百屋を見つけ出しコーラを買う。小休止しつつ、地図を眺めて何とかルートを見つけ出し再び高速に乗る。何度かのジャンクションを経てようやく「バルビゾン」の標識が見えてくる。パリの中心部から1時間も走っていないのに回りはすっかり長閑な田園風景になっている。高速を降り、そろそろと走っていくとバルビゾンに到着。村は観光の車と人でごった返している。標識を頼りにホテルに到着。かつて昭和帝がお食事にお見えになったこともある由緒正しいレストラン・ホテルなのだが、得体の知れない若者夫婦を手厚く迎え入れてくれる。荷物を置いてから村の中を散歩し、アイスクリームをなめる。人が多い。もっと静かな村かと思っていたのだが、恐らくはパリから日帰りで観光に来ている人が多いのだろう。東京から川越の古い軒並みを見に来るのと同じ塩梅だ。ホテルに戻り、浴衣に着替えてディナーに向かう。見慣れぬ和服姿にボーイも周りの客もジロジロと好奇の視線を浴びせる。シャンパンを開け、ジャガイモのポタージュの冷製、フォアグラのテリーヌ、羊のロースト、鶏のロースト。理屈抜きで美味しい。食後ににチーズを勧められて断ると「確かに日本のお客様はチーズをあまり好まれません。でもこのチーズを一度お試しください」と、地元のフレッシュチーズをサーブされる。フォンテーヌブローという名のそのチーズはホイップクリームのような外見と舌触りで、フワフワで臭みなどまったくない。グラニュー糖をかけて食べるとまさに生クリームとしか思えない。給仕の粋な計らいに感謝し、デザートに桃を焙ったものを食べる。