朝9時前に起きて、“H&H Bagels”に行きベーグルを買う。セントラル・パークを散歩して、ベンチに腰掛けて買ってきたベーグルを食べる。公園内をのんびり歩いて、ジョン=レノンが期せずして最期を迎えたダコタ・アパートを眺める。以前、高尾慶子のエッセイで、ジョンは本当はイギリスの田舎に帰りたかったのに、夫人がそうさせなかった云々というくだりを読んだことがあったが、果たして彼は何を想い、何を感じながらこの高級住宅街に暮らしていたのだろうかと考えてみる。ムール貝を食べたくなって、“Cafe de Bruxelles”で昼食。ベルギーの味そのもので美味しい。お約束のフライドポテトもついてくるが、こちらは流石に本場には及ばない。妻はエッグ・ベネディクト。ともあれ、十分満足してソーホーへ。日曜日だが殆どの店が開いており賑わっている。あちこち見て回る。3年前にも行ったアップルストアには、24インチの新型iMacはまだ並んではいない。夕方、一旦ホテルに戻り、ニューヨーク大学そばのカフェに行こうとしたら閉まっていたので、近くの店でドネル・ケバブを食べる。これまでに食べた中で一番肉の切り身が厚くて食べ応えがあるが、その分羊肉の匂いもキツい。時刻は22時を回っていたが、ブルックリン橋沿いの夜景を見に地下鉄に乗る。駅を降りると、雑然とした工業地帯のような風景があり、ガイドブックに載っていた公園はどこにも見当たらない。警邏中の警官に道を聞いて、ようやく公園にたどり着く。夜景を存分に楽しんでから帰路に就く。それにしても薄暗い地区だが、こんな時間にも開いているカフェに警官がたむろしてサボっている光景を眼にすると、何となくこころが和む。


わたしのイギリス あなたのニッポン
高尾 慶子
文藝春秋 (2003/09)
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