この前仕事帰りに、個人的にお世話になっている方に帰国のご挨拶をしに行ったんだけど、その方の会社の応接室に案内されて待っていた。
 
相手が来るまでは座らないで侍立してるってのが僕のポリシーというか武士のしきたりと心得ていて、5分くらい立ってたんだけど、じっと同じ姿勢でいるのはしんどいことに改めて気づく。
 
それで思い出すのは大学の卒業式でのこと。会場の壇上には学長と各学部の学部長がおられて、学科のゼミ教官(小学〜高校の大先輩でもある!)が当時外国語学部長だったから座っていらしたんだけど、他の教授がしきりに肩を揺らしたり姿勢を変えたりするのに、その先生だけ一部始終ビクリともしない。
僕はそれを見て、ああやはり自分の母校の教育(それなりに厳しかった)は偉大なんだなと思うと同時に、本当にかっこいい人っていうのは、こういう場面で凛として振る舞える人をいうんだろうなと深く感じ入ったものだった。
僕は僕で、同じ学校で教育を受けてはきたものの、性分の落ち着きのなさは抑えられず、「気をつけ」をしているつもりでも、ふと気づくと体の重心が変わっていたり、頭が動いたりしてしまう。
 
僕と同年代あるいは若い友人の中には、サービス業でお客さんの前に立つ仕事をしてる人もいるけど、彼なり彼女たちは、一体どうやって自分の姿勢を保つという集中力を発揮しつつ、且つ周囲に眼を配ってお客や同僚の動きを把握したりしているんだろう。おそらく、緊張しすぎない程度に集中力を蓄えるノウハウがあるんだろうと想像するのだが。
 
ともあれ、自分の欠点と他者の美点を認識出来ている限りは、自分を磨く、自分を変えてゆくことは少しずつでもできるんじゃないかと思えてくる。そして、その為には、変な理論武装(自分は決して悪くないんだとか、あいつはどうせ大したことはないんだといった結論を導いたり言いふらしたりする目的で理屈をこねること)は厳に慎まねばなるまいと思う。
 

男の作法
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