平気でうそをつく人たち(4) (上智大学フランス語学科同窓会による個人情報無断開示事件)

(承前)

2013年の就職懇談会の席上、役員の山岸真太郎さんから「来年は是非他の卒業生をお誘いください」とのコメントがありました。

確かに、色々な卒業生が来てくれた方が交流も深まるというものでしょう。幸い、僕は同期で今でも連絡を取り合う面々が少なくないですし、在学中から卒業してからも関わっていたCALLシステム(PCを用いた教材開発プロジェクト。フランス語学科の田中幸子先生が主導していた)で知り合った後輩たちとも今でも会ったり、メールのやり取りがあったりします。

とはいえ、2014年はいつ開催されるのか分かりません。
人の予定を押さえるならば、早いに越したことはないですし、僕の考えからして、どんなに遅くても6週間(1ヶ月半)くらい前には漠然とでも相手の頭に入れておかないと、後になって押しこむのは相当に難しいと思うのです。とりわけ、ピンポイントで日時が固まってしまうのであれば、相手には他の予定をズラしてもらう為の調整や根回しをするだけの猶予を十分に与えなければならないでしょうから。

そこで、10月6日に山岸真太郎さんにメールを書いて、昨年の約束を履行すべく動きたいのだけれども、今年の予定はどうなっているのでしょうか、と問い合わせてみることにしました。

すると、山岸真太郎さんからはすぐにお返事をいただきました。
いわく、今年は11月7日に開催ということだけは決まっていても、詳細は白紙で何も決まっていないとのこと。すなわち、1ヶ月前になっているというのに、講師役の募集も一切始めていなければ、懇談会の開催告知も行われていない様子でした。懇談会の内容は言うに及ばずでしょう。

同窓会組織がどのような人員構成で、どのような開催方針で臨んでいたのかは分かりませんが、1ヶ月前の段階でそれはないんじゃないか、というのが偽らざる気持ちでした。いくらなんでもやり方が雑すぎる。

日程が決まっている以上、ギリギリになって周囲を振り回せば懇談会自体は開催できるのでしょうが、それで主催者の自己満足が得られたとしても、主役たる在校生たちの役には立たないんじゃないか、という懸念が募るばかりでした。同窓会組織にとっては、懇談会は例年の繰り返しのルーティン・ワークであったとしても、学生さんたちにとって新卒での就職活動は一生に一度しかないのですから。

就職活動についてよく分からないから懇談会に来ているのに、講師役の仕事に関する事前の情報もなくその場でいきなり「自由に質問を」という2013年のスタイルは、言ってみれば、泳ぎを知らない人たちをじゃんじゃんプールに放り込んで「さあ自由に泳いでいいんですよ!」と言っているようなものではないか、と僕には思えてならないのでした。それは同窓会会報の記事に載せる記事や写真としては美しく見えたとしても、内実を伴わないのではないか、と。

ともかくも、今年も開催することは分かったので、僕は今でも連絡を取っている学科の同期や、後輩たちに声をかけることにしました。すると、
「興味はあるけど、今からではスケジュールの都合がつけられない」
「平日の17:30って何なの一体?」
「就職のこと考えてる人たちが、実際に働いている人の時間の都合は考えないの?」
「主催者も学生気分なの?」
という、至極まっとうなコメントが続々届いてしまいました。また、
「開催案内の書面はないのか」
との問い合わせがあったので、山岸真太郎さんにつなぎました。確かに、会社に許可を得るような場面で、何の案内もないというのは通用しにくいものでしょう。
ところが、届いたのはいかにも急ごしらえなワードのベタ打ちのような書類で、しかも後になって開催場所が間違っている等の修正が入る始末でした。

それでも、僕の同期と後輩数名が参加を検討してくれることになりました。誰もが仕事を抱えていて、すぐにウンとはいえないのは確かで、取り急ぎ、この状況は山岸真太郎さんにお伝えしました。

これまで僕自身、毎年何名ものOB訪問を受け入れてきて、そこで出会った学生さんの多くが就職活動に真剣に悩んでいることはよく理解していました。しかしながら、OBに会えば何とかなるだろうと思って、会うことそれ自体を目的にやってきてしまい、あやふやな会話に終始してしまったり、就職活動で本当に必要になるであろう情報を聞こうともせず帰ってしまう学生さんも少なくありませんでした。

そうした惨状を見かねて、僕はOB訪問を受けた時には、自分の仕事の話よりはむしろ、就職活動の基本的な心得や、企業研究や自己分析といったものは何を目的に、どのようにやればいいのか等々を解説することが増えていました。そして、母校の学生さんたちはそれなり以上に優秀なことは明らかなのに、どうして闇雲な就職活動に突入してしまうのか、一度でも就活を経験した身近な上級生なり卒業生が、自分の経験をどうして誰も教えてあげないのか、実に不思議でならなかったのです。
そして、前年の就職懇談会に参加していても、このモヤモヤが晴れることはなく、むしろ不安が増えるばかりでした。

そこで僕は思い切って、山岸真太郎さんに対してある提案をしてみることにしました。

(つづく)

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