あまり眠れないまま朝になる。妻が淹れてくれたコーヒーを飲んでから家を出る。スカイライナー成田へ。朝から空港は賑わっているが、自動チェックイン機で難なく搭乗手続を完了。全日空ルフトハンザの乗り換えなので、モスクワまでのチケットが一緒に発券される。出国前に新書と欲しかったバゲッジ・ダグを買う。出国後、免税店を冷やかす。自分向けのお土産はほとんど買わないのだが、アニエス・ベーの出店があったので、iPhoneのカバーを買う。ラウンジで上司らと合流。と、場内アナウンスが流れ僕の名前が呼ばれる。コンシェルジュ・カウンターにまかり出ると、ロシアのビザを確認させて欲しい由。グランド・スタッフの女性が、やや読みにくそうに査証をチェックする。本来はチェックインの時に確認するものなのだろうが、無人化の思わぬ弊害なのかも知れない。ともあれ、航空会社の係員は、乗客ひとりひとりをケアーして、いわば水際で不測のインシデントを防がねばならないのだなと感心する。

全日空209便はボーイングB777-300。ビジネス・クラスの座席は、完全にまっ平らになる新しいもの。スペースも広くて申し分ないが、まっ平らを重視しているせいか、普通に座っている時の座り心地がいまひとつしっくりこない気がするが、これは仕方がないのだろう。離陸前からシャンパンを飲んで心地よくなってくる。離陸後、食事を終えると睡眠導入剤を飲み、アイマスクをして、耳栓の上にノイズ・キャンセリングヘッドフォンを重ねて眠りにつく。シートが本当にまっ平らなので、ぐっすり眠る。4時間後に目を覚ます。機内販売を申し込んだり、軽食を頼むのだが、どういうわけか客室乗務員の反応が鈍い。周囲で起きている客もまばらだし、それほど忙しいとも思えないのだが。これでプレミアムなおもてなしなどと宣伝されても調子が狂うが、もとより分不相応な席に座っているのは僕のほうだし、現場で働く若い人達を責めることはしたくないので、ありのままを受け入れる。フランクフルト空港には定刻より20分早く着陸。ドイツ語は全く分からないが、小さく併記されている英語の”Connecting Flights”の表示を頼りに歩いてゆく。所持品検査で入念にカバンを調べられる。どうやら、外付けの携帯型バッテリーを怪しまれたらしい。少し時間があったので、ルフトハンザ航空のラウンジへ。上司のひとりが、フランクフルト・ソーセージを食べ始めて可笑しい。そして自分も真似してみる。フランス語の新聞があったのでもらってゆく。モスクワ行きルフトハンザ1450便はエアバスA320-200。短距離用の機材であるらしく、ビジネス・クラスといいつつシートはエコノミーのそれと全く同じで、3列のシートの真ん中を開放してゆとりをもたせている。機内アナウンスで、本日は満席ですと案内されていたが僕の隣は空いている。離陸後、機内食が出てくるが、あまり食べないことにする。機内販売のカタログを見ていると、ユーロ安のおかげで、欲しかったものが相当値頃になっていることに気づいて注文してしまう。その後、席が空いているのをいいことに、真横に寝転がる。これはこれでフルフラットだなと思いながら暫く眠る。気がつくと着陸間際。モスクワ・ドモジェドヴォ空港に定刻に到着。入国審査も割とスムースに進み、税関で呼び止められることもなく無事にゲートを抜ける。出迎えのクルマの運転手が見つからなくてやや焦るが、電話をかけるとようやくつかまり、バンで市内へ。もう日付も変わっているが、無事モスクワ市内のホテルに到着。荷物を開け、明日の支度をととのえ、風呂に入って眠る。長い一日がようやく終わる。

Hello Another Way-それぞれの場所-
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