結局一睡もしないまま午前3時になり、昨晩高島屋で買っておいたあんパンをかじり、コーヒーを飲む。4時前に家を出て、タクシーで羽田空港へ。運転手が話し好きで、震災の話を聞かされる。道はガラ空きで30分で国際線ターミナルに着く。

まだ日も昇らない出発フロアには、警官やガードマンの姿ばかりが目立つ。それでも、大韓航空のカウンターには長蛇の列が出来ている。ビジネスクラスは殆ど人がいないが、先客が膨大な荷物を持ち込んでおり、順番が回ってくるまで時間が掛かる。とっとと出国し、24時間営業している正面の免税店をチラリと覗くが、何も買わずにラウンジへ。大韓航空独自のラウンジがない代わりに日航さくらラウンジを使うことが出来る。2月に同じ羽田のANAラウンジを利用したばかりなので、比較して見てみると、同じような床面積ながら、昔ながらの落ち着いた明るいつくりをしていて、間接照明でシックな雰囲気を漂わせる全日空とは対照的。夜明け前だけあって殆ど人がおらず、食べ物も殆どないが、家であんパンを食べてきたし、これから機内食もあるので小振りなクロワッサンを一つだけかじっておく。搭乗までまだ時間があるので、ラウンジ内のマッサージ椅子にあたる。ここのところ肩凝りが酷かったので随分ほぐれた気分になる。
KE720便はB737-900。機内食はお粥にするが、おかずが全然ないのであまりお腹の足しにならない。うとうとしているうちに定刻に仁川空港に着陸。乗り継ぎゲートに向かおうとすると「検疫カウンターで放射線検査をしている」旨告知されているのに驚く。幸い、実際に検査されることはなく、手荷物検査を受けてロビーに出る。3時間もの待ち時間があるので、あちこちうろつく。お腹が空いてきたので、フードコートで石焼ビビンバを食べる。空港内なので9,000ウォン(約800円)もするが、それなりに美味しい。お土産は帰りに買うことにして、構内のシャトル・トレインに乗ってサテライト側のターミナルに向かう。モンゴル航空の搭乗券を発券して貰うと、大韓航空のラウンジを使えるというので入ってみる。メインのターミナルのラウンジは何度か入ったことがあるが、サテライト側は初めて。メインとは対照的に、外光を積極的に採り入れた明るい趣き。 Le FigaroやParis Matchといったフランス語の新聞や書籍がなぜかふんだんにあるので久し振りに読みふける。恐らく、同じスカイチームのエールフランスの利用客に配慮してのことだろう。今夜ホテルで飲む為に、ミネラルウォーターやジュースを数本失敬してラウンジを後にする。MIATモンゴル航空302便は、いつもと同じボーイング737-800。今回はビジネスクラスなのでゆったりと座席に収まる。離陸前からグッスリ眠ってしまい、眼が醒めると既にミールサービスも終わっている。ビビンバを食べておいてよかった。客室乗務員にコーラを所望する。ほどなく着陸態勢に入り、ウランバートル・チンギスハーン空港に定時に着陸。スンナリ入国し、出迎えのエージェント会社の方にホテルまで連れて行って貰う。若い女性だが、日本語がペラペラなので有り難い。今日のウランバートルの気温は15℃に達しているという。今回宿泊するホテルは、1月に会議をしたことのある「コーポレートホテル」になる。外見はいかにもソ連が建てたことが分かる古めかしいつくりで、レビューサイトを見ていると決して評価はまちまちなのだが、内装はすっかりリファービッシュされており、広い部屋には大型の液晶テレビも備わっていて申し分ない。窓を開けてみると、冬場に市内で焚いていた石炭の臭いがなくなったせいもあって気持ちがよい。荷物をほどき、明日の支度をしているうちに陽が暮れてきたので、ホテル内のレストランで夕食。ステーキを食べてみる。あまり固くなくて美味しい。付け合わせの白米とフレンチ・フライも良い。部屋に戻ってテレビをつけると映画「タイタニック」が流れている。が、よく見てみるとロシアのテレビ局であるらしく、ディカプリオを始め登場人物が全員ロシア語を早口でまくし立てていて何とも奇妙。また、映画を見ていると、災害にいきなり遭遇した時に人間がどう振る舞うのかという、身近に体験したことが色々と思い出される。風呂につかり、硬めのベッドで横になる。

仁川エアポート/夜霧のふたり
山本譲二 川中美幸
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