最初の機内食の後、うとうと眠る。寝苦しいというか、体は起きたいのだが意識がそうさせてくれないような妙な状態が続いて、数時間後に眼が醒める。それ以来、全く眠れなくなり、本を読んだり、ラップトップを広げたりして過ごす。座席のモニタに表示された航路図を見ていると、北米大陸の西海岸を舐めるように北上している。一般的に2発エンジンの旅客機は、片方のエンジンが故障した場合に60分以内に緊急着陸できる飛行ルートを選ぶことが義務付けられているのだが、ボーイング777は2発機ながら長時間の洋上飛行運航(ETOPS)が許可されている筈で、あえて陸地沿いに飛ぶのは不思議だなと思う。とはいえ地球は丸いので、東海岸からの飛行であれば放物線を描くように北周りをするのが、もしかすると最も効率的なのかも知れない。


途中、なぜか「らあーめん」と書かれているカップラーメンの軽食や、スパイシーな肉野菜炒めののったうどんらしき機内食が供される。何度かベルトサインが灯き機体が揺れるが、客室乗務員は何事もないかのように食事のサーブを続けている。アバウトなのか経験がそうさせるのか分からないが、乗務員の本分である安全の確保をこそ優先させて欲しいなぁと思う。15時過ぎに成田空港に着陸。入国審査に物凄い列ができており、15分近く並ぶ。税関を無事突破して、京成線に乗る。第1ターミナルだと始発駅になるのでゆったり席を選べる。ひたすら電車に揺られる。失礼な言い方だが、車窓を眺めていると、千葉県の郊外は本当に田舎なんだなと思う。行き道には過ぎるほど冷えていた社内がなぜかぬるい。おかしいなと思っていると弱冷房車。既に車内の席は埋まっており今更席を変えるわけにもいかない。暫くして勝田台に到着。葛西に住んでいた頃はここから東葉高速鉄道に乗り換えていた。今の住処の茅場町へも行かれはするのだが、この駅は京成と東葉高速が直結してはいても、上りのエスカレータのみで下りがなく、トランクを運んでの乗換えが極めて不便になっている。なので、敬遠して上野回りを選択する。東葉高速線はお世辞にも儲かってはいないのだから、都心?成田空港へのバイパス線としてのファンクションをもっと積極的にアピールしてもよいのではないかと思う。東西線沿線の乗客にしてみれば、乗り換え1回で空港まで行かれるメリットは小さくないと思うのだが。そんなことを考えているうちにうとうとし始め、日暮里で眼が醒める。上野から日比谷線で帰ろうかと思ったが、雨が降っているのでタクシーを拾えそうな日本橋に向かうことにして、銀座線に乗り換え。コレド日本橋の地下のスーパーで妻が簡単な買い物をしてからタクシーで帰宅。短いようで長い旅がようやく終わる。

空港と鉄道―アクセスの向上をめざして
佐藤 芳彦
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