朝7時過ぎに起きて支度する。8時前にホテルを出て空港へ。実質僅か半日の滞在なのが心残りだが、限られた日程なので致し方ない。荷物のチェックインを済ませ、ラウンジに向かう。が、ラウンジというよりはタコ部屋とも言うべき窓もないスペースで、黒人の太った小母さんが入口に座っている。それでも、飲み物はちゃんと冷えているし、新聞も最新のものがあるのでゆっくり過ごす。お土産屋に向かい、昨日客先でご馳走になって美味しかった紅茶と、Tシャツを購入。南アフリカ航空7116便は、実際にはタンザニア航空による運航。垂直尾翼にはキリンが描かれていて何だか可愛い。ぼんやりしているうちに、ヨハネスブルグ空港に着陸。形ばかりの入国審査を済ませて到着ロビーで駐在員のお出迎えを受ける。早速、クルマで首都プレトリアの客先に移動。道路も街並みもまるで欧米のようで、他のアフリカとは全く違う様相に眼を白黒させる。夕方、プレトリアの子会社を訪問。ここに出向している責任者が、誰あろう、5年前僕を配属当初の部から追い出した当時の部長であり、まさか再会するとは向こうも思っていなかっただろう。果たして、会議室で顔を合わすと「ミズノ、久し振りぃ」などと妙に元気そうな声で語りかけてきたので、「何の因果でか、地球の反対側でまたお会いすることになりましたね。」と丁重に頭を下げながら返答したら、向こうも笑う。会議中から何か言いたげに視線を注いできて、やおら近づいてきたりもしたが、こちらは恣意的に目を合わせずに、何らコミュニケーションを図りはしなかった。恐らくは、役員に自分の悪口を吹き込まれていないか確かめたかったのだろう。彼にとっての関心事は、いつだって自分のことだけなのだろう。実際のところ、僕は役員には率直に「あの人が部長の時に僕は突然追い出されたんです。彼にとって僕は要らない人間だったんでしょう」と事前に伝えているが、必要以上に悪くは言ってはいない。夜、ホテルにチェックインした後、支店長宅で奥さまの手料理のおもてなしを受ける。僕もお相伴に与り美味しく頂く。日付が変わる前にホテルに戻り、明日の支度をして眠る。


世界遺産 南アフリカ編
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