富士スピードウェイといえば、何度かレースを見に行ったことがあり、あんなバラックみたいなピットやオンボロなスタンドでF1なんて出来るのかな、と思っていたのですが、トヨタによる買収後、物凄い改修が行われたようで、すっかり近代的な装いに改まっていたことに驚きました。
F1日本グランプリはルイス=ハミルトンの勝利に終わりましたが、鈴鹿(ホンダ)から日本グランプリを奪った、トヨタによる肝煎りのイベントだった今回のF1会場運営を巡ってネット上で批判が噴出しています。


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ネット上で、と断ったのはテレビでは報じられないためですが、一般車両を一切シャットアウトし徒歩の移動すら禁じて導入したシャトルバスに乗るために、雨の中何と5時間待たされたとか、会場で売られている弁当がバカ高(1,500円?10,000円!)だとか、会場で旗や横断幕は掲揚禁止といいつつ、トヨタチームを応援する横断幕だけは堂々と張られていたとか、会場で「君が代」が演奏された際、どのチームも国歌に敬意を表し手を休めている時にトヨタチームだけがエンジンをかけた(静音設計のセルシオならともかく、マフラーもついていないF1マシンのエンジン音は文字通り爆音)といった声がありました。
とりわけ、国歌については、我々日本人はなかなか意識しませんが国旗と並んで最もリスペクトしなければならないものの一つであって、今から13年前、岡山で開催されたパシフィックグランプリで、生放送の国歌演奏中に古舘伊知郎がベラベラ喋り出し、更には起立している観客にマイクを突きつけインタビューを迫る姿に、当時高校生ながら「この非国民めが!」と思った記憶がありますが、今回のトヨタチームの所業も酷いと思わざるを得ませんでした。
思い返せば、1995年にWRC(世界ラリー選手権)で極めて悪質な規則違反をして、FIA(国際自動車連盟)会長マックス=モズレー自らが違反装置のデモンストレーションを行ってみせるほどFIAを怒らせたのもトヨタ(12ヶ月間の世界選手権への参戦停止)。ル・マン24時間レースでどうしても勝ちたかったのに、日本車初優勝の快挙をマツダにさらわれ、その後プロトタイプカーが禁止されていたのにどう見てもグループCのクルマを公道車両と称してつくって参戦するも、それでも優勝できずあえなく撤退。F1参戦を果たした後も、2003年型マシンTF103が前年度のチャンピオン・フェラーリF2002に激似。それもその筈、元フェラーリのスタッフが設計データごとパクってきたことが発覚して後に有罪判決(個人の犯罪とされトヨタ自体にお咎めはなし)、などなど、トヨタのモータースポーツに関する暗部はまさに底なしといった感があり、トヨタの活動を素直にスポーツとして見られない、という向きは少なくないのではないかと思います。
肝心のF1レースは、序盤戦ずっとペースカーの先導(豪雨のため追い越し禁止状態で徐行)という異例の展開で、折角の生放送が台無しでしたが、それでも、100Rをありえないライン取りで、雨とは思えぬ速度で疾走するキミ=ライコネンの姿など印象に残る場面が見られました。

幻のレーサー・福沢幸雄 (1978年)
ノーベル書房 (1978/04)