Author: n-mizuno

アフリカ出張記(11): Birthday Boy

朝6時過ぎに起きる。眠いが、お湯が出るようになったのでシャワーを浴びて身支度を整える。ホテルをチェック・アウトしてから客先を訪問。官庁なのにエレベータが故障しており、8階(日本式の9階)まで階段を昇る。面談を終え、近所のカフェで休憩。まるで欧米のようなつくりで、ショウケースにはパンやケーキも並んでいるのが眼を見張る。イタリアン・レストランで昼食。ピザとパスタを頼む。ピザは美味しいが、パスタはまるで冷凍食品のようで正直言って頂けない。午後、アポイントがもう1件入ったので出かける。面談後、そのまま空港に向かう。夕方の渋滞に巻き込まれそうになるが、何とか切り抜けて到着。ここでお別れとなる南アの駐在員にお礼を申し上げてからチェック・インを行う。が、機械が故障して手続に時間を取られる。ようやく自分の番になる。エール・フランスなのでフランス語が通じ、チェックイン・バゲッジは成田まで直送するよう依頼する。と、職員が突然、”Ah!”と叫ぶので怪訝な顔をすると、「アナタ、今日誕生日だね。おめでとう!」と言ってくる。
「よく分かったね。32歳だよ。」
「だってパスポートに書いてあるじゃんか。」
こんなやり取りの後、無事出国を果たしてラウンジで休憩。ラウンジとはいっても、1970年代のような趣のホールで、飲み物は2杯まで無料だが3杯目からは3ドルだとか、トーストは半切れで5ドルだとかいろいろうるさい。とりあえず、ビールとポテトチップスを確保して一息つく。普段は酒を余り呑まないが、アフリカでの仕事が全て終わって安心したのでカールスバーグをゴクゴク飲む。ビールはこんなに美味しい飲み物だったかと思う。AF929便はB777-300。ゆったりしたシートに身を沈めるとたちまち眠りこけてしまう。いつ離陸したのかも分からないまま、眼が醒めるとミール・サービス。久しぶりにフォアグラを食べる。濃厚で美味しい。メインディッシュは牛肉のシチューにするが、肉が固くてさして美味しくない。デザートのシャーベットを食べた後、座席を真っ平らにしてまた眠ることにする。

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アフリカ出張記(10): The China Syndrome

朝5時半に起きて、さっさと着替えてホテルをチェックアウト。空港に向かうと、物凄い混雑。とりわけ、これから乗るアンゴラ行きの便は満席で、長蛇の列ができており、搭乗クラスに関係なく一列になれと言われる。すると、スターアライアンス・ゴールドメンバー専用カウンターがガラ空きなのが眼に入ったので、役員と支店長を促して向かう。アンゴラ行きはここではダメだ、とゴネる職員に、そんな筈はない、急いでいるんだ、と凄んでチェックインをして貰う。出国し、ラウンジで朝食代わりにマフィンを食べ、搭乗までの空き時間を利用して土産物屋で少しだけ買い物をする。出発ゲートに向かうと、物凄い人混みに圧倒される。大半が中国人労働者。無秩序に蠢く大行列に身を任せ、何とか搭乗。多くの乗客を捌くためか、長距離用のA340-600があてがわれており、4時間足らずのフライトなのにシートが真っ平らになる。おかげでぐっすり眠る。アンゴラのルアンダ空港には定刻よりも早目に着陸。降機して連絡バスに乗り、ターミナルの建物に着くや、皆我先に入国カードを奪うように受け取る。この国の決まりで、イエローカードを一枚一枚確認した上で入国カードを配ることになっており、早く受け取らないことには入国手続き自体が遅れることになってしまう。ビジネスクラスだったこともあり、殆ど待つことはなかったが、エコノミークラスで降り立つと、中国人同士が乱闘さながらにカードをひったくってゆくのだという。無事入国は果たしたが、荷物がなかなか出て来ずやや心配になる。20分近くたって漸く出てきて、税関の荷物検査に臨む。女性の検査官が、早口でアフリカ訛りの英語でまくしたててくる。
「ごめん。ゆっくり話してくれる? フランス語話せない?」
「え、フランス語? それは無理ね。これは何?」
「お客さんのギフトだけど」
「中身を見せて」
「包装ほどいちゃったらギフトにならねえだろ」
「いいから開けて」
哀れ、包装紙はぐちゃぐちゃに。ともあれ、何も没収されることもなくアンゴラの地に降り立つ。現地のエージェントの車でホテルへ。物凄い渋滞と、埃っぽくて薄汚れた街並み。これぞアフリカという感じがしてくる。ようやく渋滞を抜けホテルに着くが、社会主義時代の名残か、チェックインの手続き自体が面倒で、かつ従業員の動きが緩慢。30分以上も待たされてから部屋に入る。内装は一応キレイになってはいるが、いかにも古めかしいつくりで部屋の中はカビ臭い。これでもルアンダ市内で一番のホテルだというから、二番以下はどうなっているんだろかと考えてしまう。荷物を置いた後、客先を2か所訪問。夜は、ポルトガル料理のレストランに向かう。前菜にムール貝のグラタン、メインディッシュはポルトガル風ステーキなるものにすると、クリームソースの上にステーキが乗っかり、ポテトが沢山盛られていて美味だった。物凄く眠くなってくる。日付が変わる前にホテルに戻り、お湯が出ないのでタオルで体を拭くだけにしてベッドにもぐる。

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アフリカ出張記(9): Looking for a Rainbow

朝7時過ぎに起きて、9時前に朝食。シャツと背広をクリーニングに出しておく。10時過ぎにホテルを出て、支店長の案内でプレトリア近郊にある、オランダ系白人がつくったフォールトレッカー・モニュメントを見学。ピラミッドのような威容だが、これもみんな奴隷の黒人がつくったのかなぁなどと考える。その後、ヨハネスブルグに戻り、アパルトヘイト博物館を見学。こんな明からさまな人種差別が、現代に至るまで続いていたことに驚く。オランダ人の心根にあるメンタリティというものなのだろうか。ホテルへの帰途、カフェ・レストランに立ち寄りハンバーガーを食べる。この界隈は高度なセキュリティで守られていて、車の出入りもいちいちチェックを受けるので、治安の悪いヨハネスブルグでも安全に外を歩けるのだという。確かに賑やかだ。食後にアイス・コーヒーを頼むと、バニラアイスとコーヒーを混ぜた一種のシェイクが出てきて驚くが、甘くて美味しい。午後、ホテルに戻ると、早くもクリーニングが仕上がっている。再びショッピング・モールをうろつく。日曜日なので、早く閉まる店も多いが、昨日も冷やかした大きなスーパーマーケットを歩く。夜、支店長宅で、駐在員とその家族を集めての夕食会に招かれる。あれこれともてなして頂き恐縮する。先日会った元の上司も来ていて、妙に積極的に話しかけてくる。上司だった頃には殆ど口も効いてくれなかったのだが。こういう席で場の雰囲気をぶち壊しても詮無いので、取り敢えず普通に会話する。その元上司、以前僕もシゴかれたこともある別の上司のことを「アイツのフランス語は大したことないんだろ?」などと言ってくる。僕は間近に接してその方のスキルの高さを知っているので「あの方は時々吃音は出ますけど、バリバリに出来ますよ」と反論する。どんなつもりで言い出したのか分からないが、せめてご自身がフランス語を話せるようになってから他人のスキルを評論すべきだろう。まぁ、この人物らしいと言えばその通りかも知れないが、人の言い草を悪く受け止めようとすればいくらでも悪く言えるということも事実なので、自戒を込めて必要以上の反論はしないことにする。この御仁の二度目の奥さまもお見えになっていて、役員が、「失礼だけど、この中で一番お若いご夫人はどなた?」と聞かれてその奥方がやや恥ずかしそうに手を挙げていたのが印象的だった。あれこれと飲み食いして、帰ろうとしたら、例の御仁が「ミズノ、ありがとう」などと言ってくる。別に礼を言われる筋合いもなく、どういうつもりで口にしたのか皆目見当がつかないが、自分が役員の面前で悪く言われることもなく、安心して思わず出てしまったのだろう。あぁ、この人は全く変わらないんだなぁ、と思いながら、適当に挨拶して支店長宅を辞去する。ホテルに戻って、荷物をまとめてから床に就く。

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アフリカ出張記(8): Side by Side

眼が醒めると、部屋が海に面していることに気づく。朝日が差し込んできて気分が良い。ホテルのテラスでのんびり朝食。部屋を片付けてからチェック・アウト。昨日と逆の道を、再び凄いスピードで走って行く。ダーバン空港でもラウンジで休憩。南アフリカ航空546便は、往路と違いエアバスA320。また役員の隣席になってしまう。今回もミールサービスがあるので、コーヒーだけにしておく。一昨日泊まったホテルに再びチェック・インし、部屋に荷物を置いた後、支店長の案内で近所の日本食レストランで昼食。焼鳥丼とうどんのランチセットを注文。日本と変わらない味で美味しい。食後、ホテルに戻り自由時間になったので、ホテルの隣にあるショッピング・モールを冷やかす。物凄い広さに圧倒されつつも、絵葉書や土産物を整える。建物の中にいると、この街の治安は本当に悪いのかとさえ思ってしまう。夜、支店長や駐在員に案内され、近所の中華料理店で夕食。あれこれと小皿料理を注文する。どれも美味しい。役員はお酒を極力飲まないようにしているらしく、今回もジャスミン茶のみ。ホテルに戻って、風呂に入ってから眠る。

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アフリカ出張記(7): Late in the Evening

朝7時前に起き、8時過ぎに朝食。この出張中初めてホテルのレストランに向かう。美味しいパンとハムに満足する。よく見ると日本食もあるので、ご飯と鮭を食べてみるが、さして美味しくはない。チェックアウトを済ませて9時半にホテルを出て客先を回る。昼食は、市内のホテルで別のお客さんと会食。実に落ち着いていて申し分ないレストランだが、ビジネス・ミーティングなので、のんびりという訳にはいかない。ただ、アスパラガスの冷製スープもラムのソテーも非常に美味しい。午後も客先を訪問。夕方、地方都市ダーバンに移動するため空港へ急ぐ。出発までやや余裕があったので、ラウンジで休息。南アフリカ航空は、全日空と同じスター・アライアンスの一員で、ラウンジのつくりも先進国並みに豪華だが、職員の対応は極めて素っ気ない。ゴールドメンバーだからといって、「ミズノさまぁ、いつもありがとうございまぁす(はぁと)」などと言われることは絶対にない。南アフリカ航空573便はB737-800で、スター・アライアンスカラーが施されているが、日本で見るものより字体が太い。国内線の短いフライトでも、しっかり機内食が出る。ハムとチーズのホットサンドが供されたので、お腹は空いていないが少しだけかじる。ダーバン空港で、先に到着していた駐在員らに出迎えられ、ライトバンで移動。すっかり暗くなった高速道路を運転手が猛然と飛ばす。宿泊予定のホテルから至近にあるフレンチ・レストランでお客さんと会食。限られた日程でお客さんに会うために、この会食だけのためだけにやって来たのだ。幸い、会食は和やかに進み、メニューもフランス語で書かれているので分かり易い。注文したエビのフリッターも、チキンのカレー煮も美味しい。会食後、ようやくホテルにチェックインする。小綺麗なつくりでうれしい。眠気が襲ってきたので早々にベッドにもぐる。

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アフリカ出張記(6): Tomorrow’s gonna be another day

朝7時過ぎに起きて支度する。8時前にホテルを出て空港へ。実質僅か半日の滞在なのが心残りだが、限られた日程なので致し方ない。荷物のチェックインを済ませ、ラウンジに向かう。が、ラウンジというよりはタコ部屋とも言うべき窓もないスペースで、黒人の太った小母さんが入口に座っている。それでも、飲み物はちゃんと冷えているし、新聞も最新のものがあるのでゆっくり過ごす。お土産屋に向かい、昨日客先でご馳走になって美味しかった紅茶と、Tシャツを購入。南アフリカ航空7116便は、実際にはタンザニア航空による運航。垂直尾翼にはキリンが描かれていて何だか可愛い。ぼんやりしているうちに、ヨハネスブルグ空港に着陸。形ばかりの入国審査を済ませて到着ロビーで駐在員のお出迎えを受ける。早速、クルマで首都プレトリアの客先に移動。道路も街並みもまるで欧米のようで、他のアフリカとは全く違う様相に眼を白黒させる。夕方、プレトリアの子会社を訪問。ここに出向している責任者が、誰あろう、5年前僕を配属当初の部から追い出した当時の部長であり、まさか再会するとは向こうも思っていなかっただろう。果たして、会議室で顔を合わすと「ミズノ、久し振りぃ」などと妙に元気そうな声で語りかけてきたので、「何の因果でか、地球の反対側でまたお会いすることになりましたね。」と丁重に頭を下げながら返答したら、向こうも笑う。会議中から何か言いたげに視線を注いできて、やおら近づいてきたりもしたが、こちらは恣意的に目を合わせずに、何らコミュニケーションを図りはしなかった。恐らくは、役員に自分の悪口を吹き込まれていないか確かめたかったのだろう。彼にとっての関心事は、いつだって自分のことだけなのだろう。実際のところ、僕は役員には率直に「あの人が部長の時に僕は突然追い出されたんです。彼にとって僕は要らない人間だったんでしょう」と事前に伝えているが、必要以上に悪くは言ってはいない。夜、ホテルにチェックインした後、支店長宅で奥さまの手料理のおもてなしを受ける。僕もお相伴に与り美味しく頂く。日付が変わる前にホテルに戻り、明日の支度をして眠る。

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アフリカ出張記(5): Postcards from East Oceanside

今日から10月。朝6時には起きて支度を始める。7時過ぎにホテルをチェックアウト。ロビーで友人らへの手紙を書き上げ、ベルキャプテンに渡す。果たして無事に届くのか怪しいが… 7時半にホテルを出て空港へ。恙無く出国し、ラウンジで休憩。お国柄が出るというべきか、中は雑然としていて新聞も2日前のものしか置いておらず、飲み物も余り冷えていないが、トニックウォーターを飲みながら時間を潰す。エチオピア航空805便はB737-700。座席が役員の隣になって仕舞い恐懼する。離陸して暫くするうちに赤道を越え、生まれて初めて南半球へ。地球の反対側とはいえ体に感じる変化は何もない。12:55の定刻にタンザニアの首都、ダルエスサラーム空港に着陸。ボーディング・ブリッジに出た途端、猛烈な湿気を伴う暑さに襲われる。入国カードの職業欄に”Company Employee”と書いて提出したところ、入国審査官にこの職業は何だと言われる。いわゆるBusiness Manだと答えると、「ならば、”Business Man”と書きなさい」と言われ書き直すことに。現地のエージェント差し向けのワンボックス・カーで市内へ。日本から運んできた日本仕様と思しきトヨタ車だが、エアコンの効きが悪く仲々涼しくならない。道路は左側通行で、信号機が日本と全く同じ形をしているのが目を引く。日本政府の援助で設置されたものらしい。今日はタンザニアのラマダン明け休日にあたるらしく、市内は閑散としている。宿泊先のホテルはやけに豪華でビックリする。休日だが、お客さんが会ってくれることになり一同で面談。夕方、ホテルに戻る。日本大使館の方がホテルで会って下さることになり、ホテルのカフェで面談。散開後、ホテル内のチャイニーズ・レストランで夕食。中華料理と銘打ってはいるが、「サシミ」「フトマキ」「カレー」「ナシゴレン」もある。グリーンカレーを頼むが仲々美味しい。鼻炎がひどくなってきたので、薬を飲んで眠る。

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アフリカ出張記(4): For the moment

朝6時には起きて身支度をする。今日がラマダン明けの休日になったと昨晩大使館で聞かされていたが、果たして朝からコーランの大音声が聞こえてくる。8時半にホテルを出て客先の役所を訪問。が、休日となった所為でオフィスには誰もおらず、ガランとしている。当初予定していた高官との面談は流れて仕舞ったが、偶々出勤していた別の幹部が会ってくれることになり、意見を交換。その後、別の政府高官との面談。こちらは予定通りに進む。昼食は、エチオピア料理のレストランで地元の有力者との会食。いわゆるバイキングだが、みな大味で肉はやや硬い。午後、アポイント3件を続けざまにこなし、くたびれる。とはいえ、休日にわざわざ時間をつくって会ってくれる人たちに感謝しないわけにゆかない。夜、一旦ホテルに戻ってから、お客さんと中華料理の会食。ガソリンスタンドに併設された建物で、見た目はいかにも怪しく、黒人女性がチャイナドレスらしき服を着て給仕していて気持ち悪さに拍車がかかるが、出てくる料理はどれも美味しく、すっかり満足する。ホテルに帰り、明日の出発に向けて荷造りを始める。

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アフリカ出張記(3): Italian Restaurant

朝7時に起きて、身支度をする。ホテルの朝食は高いうえに食べ過ぎるが分かっているので、日本から買ってきたビスケットと、ミネラル・ウォーターで済ませる。9時前にホテルを出て、会社の事務所に向かい、現地人スタッフからのレクチャーを受ける。皆、訛りはあるが分かりやすい英語を話す。10時から客先を訪問。暖かく迎えてもらう。お客さんと市内のイタリアン・レストランで昼食。イタリア占領時代からの店らしく、古めかしくやや狭いながらも落ち着いていて料理も美味しい。午後、引き続き客先を訪問。夜、日本大使のお招きでディナー。大使公邸の中に入るのは生まれて初めてだが、国民の税金をふんだんに使った施設という事前の予想は的中。とにかく驚く。同じく招待されていた現地の方々とも和やかに歓談し、宿に戻る。ホテルのバーで一杯やってから部屋に戻る。

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アフリカ出張記(2): Dance to the Music

何時間寝ただろうか。「お客様、朝食です」の声に起こされる。暫く食べられなさそうなので、和食を選択。何皿も出てきて美味しいが、トランジット中にも、次のフライトでも食べることになるのは分かっているのでほどほどにしておく。ドバイ国際空港には定刻朝4:25に到着。トランジットエリアに出るため金属探知器をくぐると僕だけ警報が鳴るので、靴を脱がされ時間を取られる。同行の営業課長の案内で、ダイナース・クラブのラウンジに赴く。エミレーツ航空のラウンジは世界中に向かう客でごった返すので空いていて静かなこちらが一種の穴場として社員の間で利用されているのだという。確かに客数も少なく、食べ物や飲み物も充実しているし、無線LANも繋がる。仕事の書類をチェックしつつ、3時間近くゆっくり過ごす。

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