出版や芸能の世界で、専属ライター、専属カメラマン、専属モデルなんて言葉を見聞きするけど、専属させる側は、他の仕事を全部断らせて、自分の仕事だけに集中してもらうだけの、よほどの報酬なり待遇、そして活躍の場というものを保証しなければならないし、雇われる側もまた、そのリワードに見合う働きぶりを見せなければなるまい。 
 
してみれば、独占契約というのは
(いささかも、気の抜けない…)
ものなのだろうが、兼業が許されないサラリーマンにしても本質は同じであって、果たしてこの僕は、会社の
(穀潰しに…)
なってはいまいか、自戒せざるを得ない。
 
仕事を離れてみても、友達と食事に出かけたり、映画を見たり、買い物につきあってもらったりするのって、よくよく考えてみると、僕はその相手の時間を
(独り占めしている…)
ってことなんだよね。
 
相手にしてみれば、僕といるってことは、別のことをする、或いは他の人と接するチャンスを
(失ってしまう…)
ということ。
 
にも関わらず、僕と一緒にいてくれるって
(実は、物凄いことなのではないか…)
と思ってしまうのだ。同性でも異性でも。
 
「友達なんだから当たり前じゃないか」
って言われるかもしれないけど、この僕は他の人や、他の行事を押しのけるだけの価値を
(生んでいるのだろうか…)
考えてしまうことがある。心置きなく話をしたり、普段の仕事や生活から離れることだけだってそれなりの価値はあるんだろうけど、そうした時間のホスト役として、この自分は
(相応しいのか…)
と。
 
僕を信頼したり、心を開く相手がいてくれて、僕もまたその存在を
(さも、当然のように…)
受け入れてしまいがちなだけに、自分が相手にもたらし得るものや、相手の存在というものを、この自分は
(きちんと、理解しているのか…)
を考えてしまう。
 
毎日は
(あっと言う間に…)
過ぎてしまうけど、それだけに、心に留めておくべきことを
(忘れてはならぬ…)
と自戒していたい。