第4四半期(10月-12月)は96冊の本を読んだ。今回もまた順不同、かつ半端な数だけどベスト12冊、ワースト2冊とします。年間を通じてのベリー・ベストは別途まとめます
 
【ベスト12】

  • 我が人生の時の人々(石原慎太郎・著)
    20代で世に出て、様々な分野での人生の達人たちとの交流を得た筆者の回想録。痛快なエピソードの数々が唯々楽しい。
  • 三島由紀夫の日蝕(石原慎太郎・著)
    筆者とはほぼ同世代の先輩作家で、時のアイドルでもあった三島との関わりを、親しかったがゆえの距離感で描く。
  • 「よど号」事件三十年目の真実(島田滋敏・著)
    日本航空で現地対策本部長を務めた筆者しか書けない舞台裏。とりわけ、ソウルでの韓国軍当局とのやり取りが興味をそそられる。
  • ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版(服部正也・著)
    日銀マンが、昭和30年代にアフリカの僻地で文字通り徒手空拳の財政再建に取り組む。教科書では教えてくれない世界がそこにはある。
  • 「同期の桜」は唄わせない(清武英利・著)
    特攻基地は知覧だけではなかった。陸軍最後の特攻拠点、幻の万世飛行場を後世に伝えるべく、特攻隊の生き残りが自分の人生を賭けて奔走する。
  • 切り捨てSONY(清武英利・著)
    自由闊達な職場だったはずのソニーでまかり通る、創業者の理想とはかけ離れたリストラと、経営者たちの放漫。
  • 皇族の「公」と「私」(寛仁親王/工藤美代子・著)
    「ヒゲの殿下」こと寛仁親王殿下の語り下ろし。学習院高等科時代に父宮である三笠宮殿下に宿題をやらせるなどハチャメチャなエピソードが満載。
  • 私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな(ジェーン・スー・著)
    かつてはモテたり美人と言われたこともあった、いわゆる売れ残りの女性たちがどうして今の位置にあるのかをひたすら書き綴った怪作。
  • 学園天国(五十嵐貴久・著)
    高校3年生の主人公と担任教師は実は夫婦! 私立高校を舞台にしたハチャメチャなドラマが読者を惹きつけてゆく。
  • 行動学入門(三島由紀夫・著)
    単純にして明快な筆致で描くショート・エッセイ集。全く肩肘張らずに読めるだけでなく、現代にも通じる筆者の普遍的な問題提起が冴える。
  • レディー・ジョーカー (上)(中)(下)(髙村薫・著)
    ビール会社の社長を狙った謎の誘拐事件。犯人グループ、被害者、警察それぞれの思惑が複雑に入り組み、手に汗握る展開にハラハラする。
  • 新幹線ガール(徳渕真利子・著)
    新幹線のパーサーが自らの言葉で語る、自分の仕事やお客様とのふれあい。企業が自慢気にアピールするわざとらしさを感じない率直な文体に好感が持てる。

【ワースト2】

  • どんな問題も「チーム」で解決する ANAの口ぐせ(ANAビジネスソリューション・著)
    全日空の全日空による全日空の為の自画自賛本。ここまで臆面もなく自社を褒めて、実際に受けたサービスが見掛け倒しだったら、客の失望は倍加してしまわないか不安になる。そもそもの話、自社の成功のノウハウをみすみす周囲に教えてしまうなんてことはありえないことを読者は予め認識せねばなるまいに。
  • 「自分が絶対正しい!」と思っている人に振り回されない方法(片田珠美・著)
    どんな会社にもいる厄介な隣人を克明に描いてはいるのだが、対処法がいかにも漠然としていて題名通りには受け入れがたいし、読んでいてスッキリしてこない。