学生時代、合コンに参加した話をうっかりしたら、サークルにいた非モテが
「一体ィ、どうしたらそういうものに参加できるわけェ?」
と物欲しそうな顔で訊いてきたことがある。
どうしたら?って言われても、偶さか年の離れた遊び人の友達に声をかけて貰っただけで、身近なとっかかりがあっただけの話。飲み会自体は、年上の女性ばかりだったので戸惑いがなくもなかったけど、全く知らない人の輪に飛び込むのは、僕には楽しかった。
「自分は合コンに誘われない」と嘆くのならば自分で企画すればよいのだし、いきなり女の子に提案しにくいならば、男性陣に魅力的な付加価値をつけるなり、豪華な会場を選ぶことも検討せねばなるまい。僕があの時誘われたのも、恐らくは若い親元暮らしの学生で親のクルマを転がしているという環境が、女性陣を惹きつけると遊び人が踏んだからだろうし。
モテる人というのはつまるところ、異性と懇ろになるという目的にたどり着くまでの戦略や過程、個別の場面での戦術を楽しめる人のことなんだろうと僕は思っている。
戦略、戦術という言葉遣いには語弊があるかも知れないが、相手をどうやって楽しませるか喜ばせるかというアイデアの創出であることに変わりはないし、自分の目的を達成する為に、相手を主語にしたストーリーをキチンと想像できるか否かが、モテと非モテを分けているような気がする。
面倒くさいことを全部省略して「俺の回りにオンナ集めろオンナ紹介しろ」と、自分にだけ都合の良い要求をしても誰も相手にはしないだろうし、目に見えにくい工夫を凝らして相手を思いやっている人たちを妬んで「なんでアイツが。なんで俺は相手にされない!」と叫んでもそれは当然の帰結としか言いようあるまい。
他人にないものを妬む気持ちは誰にもあると思うけど、その相手を引きずり下ろそうとするよりは、他人にないものを自分の中に発見することの方が、はるかに建設的で面白いと思うのだが。