F1の決勝レースでは、最初の1周目のみ、グランプリドクターの異名を持つワトキンス博士を乗せたセイフティー・カーが最後尾を走行し、アクシデントが起きた際に直ちに対応できる措置が取られている。ある年のイタリア・グランプリで、地元出身の往年のF1レーサー、フラビオ・ブランビラがセイフティー・カーのハンドルを握ることになった。初めて大役を仰せつかったブランビラが「どれくらいの速度で走ればいい?」と訊いたところ、博士の答えは、
「どれくらいで走ってくれてもよいよ。但し、トップには立たないように。


Dr. Sidney Watkins (1932-)
医学博士。F1グランプリに毎回随行し、モータースポーツ医学の最先端で活躍。2003年限りで第一線を退く。