僕は大学が女子校状態だったせいか、女性が口にする事柄と、そうは言ってても実際はこうしたいんだろうなっていう着地点との差異が何となく分かるようになってきた。見栄や虚勢とは言うまいが、彼女たちの言動はつまるところ、自分が悪者にならないことが最優先事項であって、ホンネで話しているつもりでも生じるズレを受け入れること、着地点をある程度予測して話を聞くことが大事なんだと思うようになった。
 
それを疲れるだとか面倒くさいなんて言うべきではなくて、男だって同じようなことはどこかでしてる。いってみれば野球で「俺の真ん前にボールを打たない奴が悪い」なんて言う野手がいないのと同じ。自分からボールを取りに行く意識のない、ジコチューの思考に凝り固まっている人種が「あいつが悪い」「社会がおかしい」「自分はこんなに頑張ってるのに」なんて言い出すんじゃなかろうか。
 
異性に縁遠い人っていうのは、言い方は悪いが自分から異性を遠ざけてる要素があるんだろう。その最たるものは、自分から何も与えないことだと思う。別に金品を貢げといってるんじゃない。相手の話を聞くことだって自分の時間を与えていることだし、相手を安心させてあげるのも、その環境を与えていることにほかならない。そうした思考もなしに自分の話だけを延々アピールしても、それが相手の望むことなのか、相手も自分と同じく聞いて欲しい話があるかも、って想像力がないんじゃ「とにかく俺様に従え」って吠えてるのと同じ。そういう輩に異性が寄りつくわけがないよね。
 
どんなに頑張ってるつもりでも、そのベクトルがあさってを向いてたら徒労に終わってしまう。鏡に向かって世界で一番美しいのは誰?と聞いてみても、鏡自身が映したことがあるのが自分しかいなかったら、ランキングには自分しか入らない。こういう、考えてみれば当たり前の事柄を認識することが、自分を改善してゆく第一歩になる気がするのだが。
 

少女マンガで読み解く 乙女心のツボ
和久井 香菜子
カンゼン
売り上げランキング: 167,381