朝5時過ぎには眼が醒めてしまう。やり残していた荷造りをしつつ、絵葉書を書く。朝7時過ぎに、昨晩行ったケーニッヒシュタインの街まで散歩する。流石にどの店も閉まっているが、散歩しているだけで飽きない。ふと街の外れにスーパーマーケットらしき建物があり、ポスターに”7-22″と大書されているので、もしやと思っていると矢張り営業している。入ってみると、フランスでいう「モノプリ」のようなスーパーで、食料品のほか、文具や衣服も揃っている。外国でのスーパー巡りは大好きなので、あれこれ見て回る。今回は手荷物だけの移動なので液体は買えないが、紅茶やお菓子の素のパウダーを買う。ホテルに戻って朝食。広いダイニングルームのテラスに出て、空気を吸い込むと何とも気分がよい。外の木を見ると、リスが駆け上がっているのが見える。カフェオレを飲み、クロワッサンを頬張ってチーズ・オムレツとフランクフルト・ソーセージを食べる。もっと食べたいが、ホテルの朝食で欲張るとロクなことがないのでほどほどにしておく。


同僚がチェック・アウトに手間取るが、ほぼ予定通りにホテルを出発して、ワゴン・タクシーで市内に向かう。途中、フランクフルトの正式名称の話になり、ここは「フランクフルト・アム・マイン」、即ち、幾つかあるフランクフルトのうち、マイン川沿いにある街という意味なのだという話になる。僕が「会津若松みたいなもんですね」と言うと、「その喩えは面白いな」と一同爆笑となる。朝10時前に、中心部にあるウェスティン・ホテルに到着し、取引先と終日会議。昼食は、会議室にサンドウィッチが持ち込まれるので休むこともままならない。ただ、サンドウィッチ自体は美味しく、一緒に出てきたさなシュークリームにも満足する。夕方、ようやく会議が終わり、タクシーで空港へ。金曜の夕方ということもあり若干渋滞するが、高速道路に入る頃には流れが良くなる。ふと見ると、料金メーターがバックミラーに浮かび上がっている。なかなか面白い仕掛けだなと思う。まだ搭乗まで時間があるので、空港のチェックインはガラガラ。出国後、ラウンジで休憩。もともとデルタ航空のラウンジを共用しているらしく、同じスカイチーム大韓航空の利用者が目立つ。賑やかな自己主張というか、普通に話していてもフォルテッシモのような喋り方をする人が多いので、いきおいラウンジもざわめくが、大韓航空の搭乗が始まると、途端に静寂が訪れる。このラウンジは食べ物があまりなく、せいぜいおつまみ程度だが、本来ラウンジとはそういうものであって、普通の食事が供される日本の施設がサービス過剰なのだろう。時間が大分あるので、皆でお喋りをしつつ、書き終えていない手紙を数通したためる。わざわざ旅先から手紙を書くことを、上司や同僚に驚かれる。搭乗前に、免税店を覗く。広さの割に品揃えが余り良くないが、同僚への土産をはじめ、いくつか買い込む。もたもたしているうちに、搭乗時刻ギリギリになってしまい、走ってゲートに向かう。日航408便は、往路と同じB777-300。ドイツ人と思しきスチュワードが、薄気味悪いほど丁寧な日本語で案内してくれる。単なる差別や偏見に過ぎないということを承知でいえば、あまり言葉が上手なのも愛嬌がないような気もしてしまう。自分自身がフランス語を話すときにも自戒しなければなるまい。身体は眠たいのだが、何となく寝つかれないので起きていることにする。腕時計を日本時間に戻しておく。機内食の時間になったので、往路と同じく洋食の肉料理を注文。白米が食べたくなったので、パンではなくご飯を持ってきて欲しいとお願いする。お腹が空いていたので沢山食べて満足するが、途端に睡魔が襲ってくる。とにかく寝たくなってきたので、テーブルも畳まないまま椅子を倒して眠って仕舞う。