朝から最終的なビデオの調整。披露宴で上映するバージョンは無事完成したが、二次会用にアレンジしたデータが消えてしまう。仕方がないが、披露宴と同じものを流してもらうほかない。12時過ぎに自宅を出て、挙式会場である九段の母校へ。控え室に入り、昨日会ったばかりの新郎に挨拶。ご親族にも一通り自己紹介をするが、時間が余ったのでお手洗いに行っておく。階段を降りると、学生食堂が眼に入ってくる。ここの元の主が昨年みまかったことを思い出す。もうあの日には戻れはしないんだなと、当たり前のことを思いもする。挙式が始まる。慣れ親しんだ母校なのに、なぜか思いっきりアウェイに来た気持ちになる。同席していた元の同級生たちも同じ気持ちだったという。それでも、12年間過ごしたおかげで、「主は皆さんとともに」と言われれば「また司祭とともに」というお約束が口をついて出てくる。聖歌隊にいたおかげで暗誦している「いつくしみ深き」を歌ってお開き。記念撮影のあと、いそいそと披露宴会場の汐留に移動。タクシーか地下鉄か迷ったが、渋滞という不確定のリスクを避けるべく東西線?銀座線で新橋へ。適当に歩いてゆくと、会場のコンラッドホテルに到着。懸案のDVDの動作チェックはあっさり終わり、全く問題なく再生出来ることが判明する。新郎は、周囲から「事前に動作チェックもしないなんて」だの「プロジェクタで上映すると画面が切れることもあるんだ」だの、散々脅されていたらしいが、この僕を素人と一緒にされても困る。それなりに互換性は考慮してつくっているのだが、心配性の新郎のためにやることはやった。披露宴は、新郎新婦が練りに練ったというだけあって、ユニークながら堅苦しさ抜きで、儀礼的なスピーチもなく和やかに進む。そして、いよいよビデオの上映。予想もしていない映像に、2人は共に唖然としていた。とりわけ、前夜まで編集に立ち会っていた新郎は、受け容れ難い表情を浮かべてこちらを見返してきたので、指を差して笑ってみせる。ともあれ、サプライズは大成功で安心する。披露宴の後、近くにある二次会の会場まで、高校時代の友人と駄弁りながら歩く。痩せたなぁ、細くなったなぁとしきりに言われるのだが、別に体が引き締まったわけではないので複雑な気持ちになる。二次会でもまた、昔の友人らと沢山出会う。中には、「誰かと思ったよ」などと言ってくるのもいて、そんなに自分が変わったとも思えないので面喰らう。二次会も楽しく時間が過ぎてゆくが、あまり寝ていないせいか眠たくなってくる。23時過ぎにお開きになり、地下鉄で帰宅。
小学館 (2004/04)
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