朝5時過ぎに起床。妻も起きてくれ、簡単に朝食を済ませて日比谷線で上野へ。スカイライナー1号で成田空港へ向かう。成田空港は、開港当初は成田新幹線計画がありその前提でターミナル地下にホームが予め出来上がっていたが、新幹線の建設が断念されて以来、遺構だけがずっと放置されていた。これを知った竹下内閣石原慎太郎運輸大臣が在来線の乗り入れを決断、立案から僅か4ヶ月で第三セクターによる鉄道事業者が設立され、竹下総理から「あんたは案外、行政がうまいんだなぁ」と褒められた逸話がある。ちなみに、空港第2ビルから成田空港までJRと京成が単線になっているのは、当初JRのみを乗り入れさせる計画であったものが、石原大臣の出身校の先輩で、京成電鉄のメインバンクの役員であった御仁が運輸省に乗り込んできて、「京成も入れさせるからな」とねじこんで実現したもので、そうでなければ京成は今でもターミナルから遠く離れた東成田駅に甘んじていたことになる。何れにせよ、現在では当たり前に利用されている空港アクセス鉄道の立役者が、現在の東京都知事であることは余り知られていない。7時半に成田空港に到着し、フランス人を待つがエールフランス機の到着が遅れて9時過ぎにようやく2人をお出迎え。本格的にフランス語会話をするのは3年ぶりなので、なかなか勘を取り戻せないが、それなりに会話をしながら箱崎までリムジンバスに乗る。箱崎からタクシーで人形町近くのウィークリーマンションに送り届け、小休止させた後、人形町交差点にある「ロン」で昼食。午後、会社に連れて行き、同僚を紹介する。夕方、役員に呼ばれて役員室へ。フランス人の歓迎会があるのだが、こちらの都合はお構いなしに打ち合わせと酒盛りが始まる。しかし、会う度に思うがこの御仁は代表取締役の一員だというのにちっとも偉ぶらず、現場の視点、営業の視点から焦点が外れることがない。異動したことで、お偉いさんの声に直に触れられるようになったのは得がたい経験だと思う。19時半頃役員室を辞して日本橋の「ほっこり」に向かい、ようやく歓迎会に合流。2人とも英語が堪能なので、他の面々とのコミュニケーションにも全く問題は無い。お開きになった後、人形町まで歩いて彼らを送ってから帰宅。長い一日がようやく終わる。

国家なる幻影―わが政治への反回想
石原 慎太郎
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