カーレースで「ル・マン式スタート」と呼ばれる方式がある。これは、コースの片側にマシンを停めておいて、グリーンライトと同時に、コースの反対側に並んだドライバーがレース・トラックを横切ってマシンに駆け込むもので、耐久レースでよく見られる光景だった。しかし、安全面からこれに反対したジャッキー・イクスは、身をもって抗議行動に出た。1969年のル・マン24時間レースのスタートで彼は歩いてマシンに乗り込んだのだ。もちろんスタートは最下位。そして、24時間後。トップでチェッカーを受けたのは、ジャッキー・イクス。ル・マンでのル・マン式スタートは廃止になった。


Jacques-Bernard Ickx (1945〜)
F1グランプリ通算8勝、 1969, 75, 76, 77, 81, 82年ル・マン24時間レース優勝。
(註:現在では4輪レースでのル・マン式スタートは殆どなくなり、鈴鹿8耐など、オートバイレースの一部でこの光景が見られる)