第3四半期(7月-9月)は114冊の本を読んだ。今回もまた変則的に順不同でベスト10冊、ワースト4冊とします。
 
【ベスト10】

  • 本能寺の変 431年目の真実(明智憲三郎・著)
    本能寺の変で得をしたのは誰なのか。本来討たれるべきだったのは誰なのか。明智光秀の末裔が解き明かす日本中世史の最大の謎。
  • 社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(小林佳徳・著)
    粉飾、虚業と書き立てられたライブドアとは何だったのか。中にいた一社員が綴る会社の本当の姿が興味をそそる。
  • 64(ロクヨン)(横山秀夫・著)
    昭和64年1月に起きた誘拐殺人事件を軸に描かれる、地方都市の県警本部の人間模様。男臭さ漂うコテコテの横山秀夫ワールドが炸裂。
  • 未来のことは未来の私にまかせよう(黒木奈々・著)
    31歳の若さで胃がんに倒れたニュースキャスター。彼女の仕事にかける情熱と、内面にある実直な想いがこころに沁みる。
  • でーれーガールズ(原田マハ・著)
    東京から転校してきた岡山で、初めて知った方言「でーれー」。主人公の描いたマンガから始まる過去と現在のストーリー。
  • 殺人犯はそこにいる(清水潔・著)
    「足利事件」の冤罪を確信し、丹念な取材で被告の無罪釈放にまで導き、真犯人と思しき男性にまで迫る筆者。そして捜査当局が、それでも杜撰なDNA鑑定結果に固執する理由があることを知る…
  • 東京革命 わが都政の回顧録(石原慎太郎・著)
    東京都知事としての日々を振り返る筆者。国政時代の回想録『国家なる幻影』ほどのエッヂが効いていない感は拭えないけれど、それは世相や登場する人物の違いなのかも知れない。
  • 二十世紀を精神分析する(岸田秀・著)
    『ものぐさ精神分析』で知られる著者の随筆集。「個人の内にある理性が全知全能」という誤謬を言葉を選ばず指摘しているのは流石。
  • 我が逃走(家入一真・著)
    いわゆるITベンチャーの成功者として世間で名の知られるようになった筆者。巨額の資産をあっという間に食いつぶしてゆくまでの、様々な形の人間模様を自らの冷静な筆致で描く。
  • もうすぐ(橋本紡・著)
    産婦人科医が過失致死で逮捕された医療事故をきっかけに、出産を巡る諸問題を浮き彫りにしてゆく、これまでの筆者の世界観から大きく踏み出す作品。

【ワースト4】

  • 絆の翼(岡田晴彦・著)
  • 翼がくれた心が熱くなるいい話(志賀内泰弘・著)
    全日空と日航それぞれの自画自賛本。「飛行機に風船を持ち込めなかった子供のためにグランドスタッフが機転を利かせて到着後に子供がニッコリ」という殆ど同じ話がなぜか両者に書かれている。航空会社にとっての鉄板ネタなんだろうか…?
  • 「下山事件」謀略論の歴史(佐藤一・著)
    未だ謎の多い下山事件の謀略説を一蹴し、自殺以外にないと筆者は力説するのだが、単なる他説や他者のコキ下ろしばかりが目についてしまう。口述筆記のせいか、論理立って読み手の頭に入ってこない。
  • 忘れないと誓ったぼくがいた(平山瑞穂・著)
    素敵なラブ・ストーリーではあるのだが、悲しみを演出するが為の世界観が先にあるような気がして白けてしまう。映画化されているらしいので、映像でどう表現されているのかは見てみたい。