器の小さい人物、それでいてプライドだけは人一倍ある人種に限って自分の無謬性を信じてるから、ひと言ゴメンと言えば解決する問題がいつまでも尾を引く。そしてゴメンと言って解決したつもりでも、内心自分は悪くないと思ってるから同じことを繰り返す。
それじゃちっとも謝ったことにならないし、余計に信用を失ってゆくんだけど、当の本人は「せっかく謝罪したのに」と逆ギレしたりする。

人間関係っていくらでもこじれるから、修復したいんなら遮二無二ならないと難しいものだろう。僕自身が若い頃に相手を傷つけた苦い思い出を振り返ってもそう思う。向こうは今でも僕を許してはいないだろうから。
自分がわざとやったんじゃないとしても、一度割れてしまったお碗は二度と同じ強度を保てないものだし、その自覚もなしに「ウチラ悪くないもん」なんてのたまっていたら、お碗が可哀想というものだろう。

「ウチラは誰にも迷惑をかけていないし、何も悪いことをしていない。周囲はウチラの考えに同意すべきで、ついてこない連中は使えない」と思ってるような人たちとの会話は往々にして成り立たない。不美人に向かって美貌の欠如を詰っても詮無いお話だし、いわんや、相手が自分を美人だと思い込んでる場合には話が通じないのは明白。

失敗を失敗と認めて状況を改善する人は、回り道をしてでも次の成功を得られるのだろうし、失敗ではなかったという言い訳で塗り固める人は、同じ轍を踏んでもまたそれは失敗ではなくなり、あまつさえ成功とみなそうとするから、いつまでたっても何も解決しない。

そして「ウチラは悪くない」と思っている限り、解決しない原因は全部周囲のせいになってしまうから、せっかく意見してくれる人たちは全員悪者になり、「君の意見は決めつけだ!」と自ら決めつけたりする。

こういう人種は自分を戦略的でカッコイイと思っていたりするから、放置するしかないのかな。あくまでも一般論だけどね。
 

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