2年ほど前「国際線の受託手荷物の量が半分に減ります」ってわざわざ京成スカイライナーの全車両に広告を打った航空会社があった。同じ内容が書かれたフルカラー印刷のビラが空港で配られてもいた。
 
積載物が軽くなれば燃料費も下がって経営指標の数字は改善するだろうが、その宣伝や印刷にかかる費用は元を正せば客が払う運賃。不便になる施策をぶちあげてその周知の為に自分たちのおカネを使われるのはいかにも気分が良くないし、センスのないやり方だなぁと思ったものだった。
 
そして競合他社はルールを変えなかったから「ウチは荷物を沢山積めます」と宣伝を始めた。それがどれだけ影響したのかは知らないが、半分に減らした会社は今年ルールを元に戻した。
 
経営改善策のつもりが、自社のネガティブ・キャンペーンに手間と費用をかけて、度重なるルール変更で客を混乱させただけとはお粗末極まりない。現場で働く人たちには見えざるコストも負担もあっただろうし(社内規定の文言や接客教育も全部やり直すんだから)、ルールを元に戻したからといって、離れたお客が元に戻ってくれるかは誰にも分かるまい。そういえばこの会社は国内線でもコーヒーが有料になったり無料になったりしていた。
 
大多数の乗客にとって重要なのは、最小の支出で最大の満足を得ることに違いあるまいが、どんなにプレミアムだオシャレだと宣伝されても、乗る度にルールが変わる訳の分からない会社よりは、毎回変わらないサービスをしてくれる会社の方が安心できるのではなかろうか。そして、その安心感こそが「次も利用しよう」という気持ちを持たせる最大の薬ではないか。
 
その航空会社は地上係員も客室乗務員も、エコノミーの客であっても実に丁寧な応対をしてくれるだけに、思いつきのような顧客軽視の施策が目につくのは、何とも残念に思えてしまう。
 
記者会見の度に他社の躍進を誹謗する経営陣は、数字よりもお客自身と向き合うべきだろう。
 

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