第40代合衆国大統領、ロナルド・レーガン。ハリウッド俳優出身かつバツイチという大統領としては異色の経歴と、底抜けの笑顔とジョークの陰にある謎と矛盾、そして今日なお米国の巨大な偶像のひとつとして国民に広く認識される理由に筆者が迫る。

レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)
村田 晃嗣
中央公論新社
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レーガンの生い立ちや、俳優、政治家としての足跡を丹念にたどりつつ、決して読みにくさや分かりにくさを残さない筆致に好感が持てる。何より、レーガンの茶目っ気たっぷりな姿が行間から想像できるのがうれしい。数多くのジョークも収録されているが、ひときわ眼を惹いたのは、大統領退任後に英国から最上位の軍事勲章を授与されることになり、珍しく緊張してしまったレーガンに、エリザベス女王が勲章を授けながらささやいたひと言:

「落としてはいけませんよ」

古き佳きアメリカを追想しつつ、現在のオバマ政権につながるアメリカ政治思想の一端も垣間見える名著。