「あの、ひょっとして、鎌ケ谷西中の…」
「はい、渡来です。こう…奥田くんだよね?」

取引先で突然再会を果たした、中学の同級生・真緒。しかも、うんとかわいくなってる… ほのかな恋愛の予感から始まるストーリーは、急激に速度を上げて駆け落ち婚になだれこむ。

陽だまりの彼女 (新潮文庫)
越谷 オサム
新潮社
売り上げランキング: 9891

幸せでたまらない筈の生活に忍び寄る、よく分からない悪い予感と不安の影。セカチューばりの悲恋話に展開するのかと思いきや、訪れるのは想像を超えた衝撃の結末…

賛否両論ある筋書きだとは思うけれど、主人公やヒロイン、その両親に溢れる真っ直ぐな愛情に疑いの余地はないし、永遠などないから輝くときがあるんだってことが、ベタベタなラブ・ストーリーの隙間から伝わってくる。

「何を言ってるのかさっぱりわからないけど、おれが好きなのは真緒だけだよ」
「ありがとう。そう言ってくれるあなたを好きになってよかった」

自分に大切なひとがいるのならば、その存在を改めて認識できる一冊。