ホンダが突如F1からの撤退を表明しました。


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以前のように「活動休止」ではなく、福井社長は今回「撤退」を明言しており、一説には年間300億円以上とされるF1参戦費用が、業績の落ち込む自動車メーカーにとって大きな負担となり、また市販乗用車への直接のフィードバックの乏しい先端技術を注ぎ込むため、株主への説明のつきにくい存在になっていることが伺えます。
ところで、ホンダ本社では、稀代の経営者藤沢武夫の方針により「社長は技術畑出身」という不文律があり、現在の福井社長もエンジニア出身(後藤治森脇基恭が同期入社!)で、社長就任後のファン感謝デーで自らF1マシンやレース用バイクを乗りこしたことさえある自動車野郎のひとり。
一方で、イギリスのホンダF1本部(HRF1: 旧BARチーム)の代表ニック=フライ氏は経済学士号を持ち、自動車産業での経験は長いながらもレース屋、機械屋としての経験は豊富とは言いがたい面があります。BARを買収する際に、どのような取り決めがあったのか分かりませんが、どうして現場のトップをホンダらしいエンジニアにしなかったのか、いまだに首を傾げたくなります。
1980年代の常勝時代、天井知らずの予算を注ぎ込み、石川島播磨重工業(現IHI)に自衛隊と同じスペックの機械を要求したという伝説さえある本田宗一郎の存命中とは明らかに時が変わり、ホンダという会社組織自体が変わってしまったのだと感じずにはいられない出来事でした。
そして、変わったことと言えば、いわゆるブームの頃のF1は、所詮はテレビ局や広告代理店のつくり上げた流行りものでしかなかったものが、現在では閣僚から撤退に対する惜別のコメントが出るほどに、このスポーツが国民全体に定着してきた、ということです。
その定着に誰よりも貢献してきた筈のホンダ、まさか、まさかの撤退です。
合 掌

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