第2四半期(4月-6月)は82冊の本を読んだ。前々から、ベスト・ワーストをそれぞれ5冊ずつ選出するつもりでいたんだけど、今回もまた変則的に順不同でベスト10冊、ワースト2冊とします。
 
【ベスト10】

  • 黒い迷宮(リチャード・ロイド・パリー・著/濱野大道・訳)
    英国人ホステス殺人事件を巡る、被害者、遺族、容疑者それぞれの姿をクッキリと浮かび上がらせる。
  • 杏のふむふむ(杏・著)
    読みやすいテンポと中身の程よい濃さが両立している、いわゆるタレント本とは一線を画する楽しいエッセイ。
  • パン・アメリカン航空物語(帆足孝治・著)
    パンナムが特別な存在であり続けたのは、飛行機の旅という新しい移動手段に魅せられた客だけでなく、それを提供する会社全体がワクワクしていたことに尽きるんじゃないかと感じられる。
  • 謝罪します(八尾恵・著)
    北朝鮮に渡り「よど号」メンバーの妻となった筆者。日本革命を標榜する人々に翻弄され、自らもまた日本人拉致に関与してしまう…
  • 流れ星が消えないうちに(橋本紡・著)
    恋人を事故で亡くし、いまはその親友とつきあっている主人公。喪失と獲得を噛みしめるストーリーがこころに沁みる。
  • 移民と現代フランス(ミュリエル・ジョリヴェ・著/鳥取絹子・訳)
    我が国も近い将来他人事ではなくなる移民問題。フランスが抱える数多の問題に切り込んでゆく…蛇足ながら著者は僕の恩師のひとり。
  • 大平正芳 ― 理念と外交(服部龍二・著)
    香川の鈍牛、アーウーの宰相と渾名された大平正芳の、知らざれる側面に光を当ててその底流にある思考と感性をひもとく。
  • 辞めない理由(碧野圭・著)
    出版社に勤める子持ちの女性副編集長。突然、社内の人間関係のイザコザに巻き込まれて左遷、そして家庭にも問題が… 大ピンチに立ち向かう主人公は…
  • ヒット&ラン(ナンシー・グリフィン/キム・マスターズ・共著/森田伸・訳)
    一大センセーションを巻き起こしたソニーによるコロンビア・ピクチャーズ買収。しかし、そこに蠢く男たちの想像を超える醜さに、世界的大企業のソニーは気づかないまま翻弄されてゆく… 長篇かつ一部読みにくい和訳も見られるものの、文中そして行間から、たくさんのことが学べる
  • しんがり(清武英利・著)
    多くの人に衝撃を与えた山一證券破綻。その原因を社内で追究し続けた最後の12人を追う。筆者自身が読売グループを追われフリージャーナリストとして再起していることを思うと味わい深さが増す。

【ワースト2】

  • 成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈(成毛眞・著)
    日本マイクロソフト社長だった筆者が、アップルのイノベーションなんぞ大したことはない、という引かれ者の小唄を延々うたう。
  • 図解 スティーブ・ジョブズ全仕事(桑原晃弥・著)
    スティーブ・ジョブスのエピソードを漫画で分かり易く書いてあるのだけれど、一般受けはするかも知れないが本質が削がれているような印象が拭えない。