一時期は経営が危ぶまれていた日本航空。そのトップである西松社長の倹約生活ぶりが米国で報道され、話題を呼んでいるそうです。


CNNが西松社長を取材し、社用車を廃して都営バスで出勤、ランチは一般社員と一緒に社員食堂、年収は自社パイロットより低い900万円という、世界十指に入る航空会社のトップにしては至って質素な生活ぶりが明らかにされ、米国民は驚きをもって受け止めているそうです。
折も折、米国自動車産業のビッグスリー首脳が公的資金投入を要請するためにプライベート・ジェットでワシントン入りしたことがABCのスクープにより報じられ、国民の反感を煽ったばかりで、一時期はグローバリズム、自由経済などといって軽視されてきた日本式経営の良い面が再びクローズアップされてきているのだと思います。
最近日航に乗ることが多いのですが、現場で働く人たちが随分元気になったなぁという印象を受けます。自分たちの働く職場を愛し守るという、いわば当たり前のことを当たり前に見つめ直しているのだろう、と想像しますが、それにはやはり経営が率先して範を垂れる必要があるわけで、意識の改革というのはトップの姿勢一つで変わるものなのだろうなと思いました。そしてまた、この業界に限った話ではありませんが、莫大な広告宣伝費でイメージ戦略ばかりに力を入れる一方で、現場社員の待遇を省みず経費削減ばかりで帳尻を合わせるような経営を続けていては、いつかそのイメージも足元から崩れていくのではないか、という気もします。

だれも教えてくれなかった社長業―「どうすりゃいいのさ!親父さん」僕らは二代目経営者
市川 善彦
アスカビジネスカレッジ
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