目覚めると快晴。近所のカフェで軽く朝食。城壁の端を散歩してから砂浜を散策する。昔は潮の干満によって島の表情が大きく変わり、満潮時には城壁にまで水位が上がったそうだが、最近では堆積物が多くなり過ぎて終日砂浜が顔を覗かせているそうな。外周を約半分回ったところで砂がぬかるんできたので引き返す。昼食に名物のオムレツを食べようと思ったのだが、有名な店ではフォアグラだのオマールが入ったオムレツと前菜にデザートをつけたセットメニューしか出さないという。夕方になれば単品も出すというのでオムレツは夕食にすることにして、近所のサンジャムへ行くことにする。昨日来る途中に、ボーダーシャツで有名な「セント・ジェームス」の看板が掛かっており、どうやら近所に店があるらしいことが分かったので、ホテルのフロントに「セント・ジェームスのお店はどこにあるの?」と聞いたら、「それはセント・ジェームス即ちサンジャム町にありますよ」と言われたものだ。地図で調べてみると、10kmほど離れたところにあることが分かったので、高速沿いのクレープ屋で昼食にする。昨日到着したときに通りかかって目をつけていたのだ。今回も定食コースを2人でシェアーする。前菜にバターと香草だけのシンプルなクレープ。メインにはシーフードのクレープ。デザートにはリンゴのクレープにカルバドスがフランベしてあるのを食べる。クレープ屋と書いてあるが、普通の料理も出すようで近くに座った老夫婦はステーキと山盛りのフリット(フライドポテト)を食べている。ともあれ、2人とも満足してサンジャムに向かう。高速道路でも行かれるが、下道を選んでのんびり走る。果てしもなく広がる田園風景に目を奪われていると突如街が現れる。小さな町の真ん中にセント・ジェームスのお店を発見したので車を停めて行ってみると丁度昼休みでクローズしている。仕方なく、近所を散策して時間をつぶす。スーパーマーケットが開いていたので、地元の蜂蜜とサクランボを買う。そうこうしているうちにお店の開く時間になったので行ってみる。生憎妻に合うサイズの服がなかったが、僕自身の気に入った服がいくつかあったので衝動買いしてしまう。夕方モンサンミッシェルに戻り、フリットを齧って街中を散策したり、カフェに入って絵葉書を書いたりしてのんびり過ごす。夜、オムレツのレストランに行くと、やはり昼食時と同じ高級セットメニューしか出さないという。話が違う。とかく傲慢なジェランの態度も気に入らないので店を後にして別のレストランに行く。ここにもオムレツがあったので妻が頼み、僕はビフテキにして分け合うことにする。沢山かき混ぜてフワフワになったオムレツはシンプルだが美味しく満足する。夕暮れ前に車で島をいったん出て、夕暮れの田園風景を写真に収めてから引き返し、ライトアップされた島を遠目に眺める。フランスの夏の日は長く、22時を過ぎてもまだ空は明るみをたたえていた。