Web2.0企業”として2006年に華々しく上場したドリコムが、楽天からの出資を仰ぐことになりました。


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記事によると、ドリコムは楽天に5,000株余の新株を発行する見返りに約9億円の資金を調達。うち6?7億円を借入金の返済に充てる、とのこと。増資といえば聞こえは良いですが、傍目には楽天がドリコムを救済した、と見えなくもありません。
いわゆる新興企業においては、業績の急激な変動やそれに伴う株主の移動などは割と頻繁に起こることなのかも知れませんが、ドリコムは確か上場当初はかなりの高値をつけて、GMOサイバーエージェントといった出資者がウハウハになり、創業者の社長も20億円相当の売却益を得たと言われていた筈です。その一方での今回の増資は、社長の私財には一切手を付けずに会社の赤字を埋める、ということなのでしょうか。当然のことながら、会社がそのままで株式数だけが増えればひと株あたりの価値は自ずと下がりますから、こうしたオペレーションが既存株主に対して説明のつくものなのか、個人的には疑問が残ります。上場当初から、異常な高値がついたことに疑問を呈する声がなくもなかったと記憶していますが、結末を知ってしまった今となってから思い返せば、結局は出資者と創業者の目先の利益のための上場、即ち株券という自分で刷った紙を日本銀行券に換えるための一種のトリックであって、一般株主に対する責任など初めから持ち合わせてはいなかったのかな、という感を強く持っています。
「ドリコムは高い企画力と技術力をコア・コンピタンスとし、新規事業をインキュベート的に創出していくことによって、一人でも多くの人々にエンターテイメント性あふれる生活を提供していく企業を目指します。」
というのは、同社のトップページに書かれているキャッチフレーズですが、この文書から、僕は「軽薄さ、中身のなさ」以上のものを見出すことが出来ません。こうした企業の本質を見抜けずに、期待や思惑だけで過大な評価を与えてしまった人たちがいけない、ということなのかも知れません。
個人的には、この増資に対する板倉雄一郎氏のコメントが待たれますが、今日(3月24日)現在、まだ公式サイトには言及がありません。

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