暫く眠っていると着陸3時間前。ちまきと焼そばの朝食。ヒースロー空港には定刻よりやや早めに到着。が、入国審査が物凄い行列になっており、1時間以上も並ぶ羽目に。ようやく入国を果たし、ATMでポンドをおろしてから地下鉄で市内へ。アールズ・コート駅近くのホテルに向かい、今日は泊まらないが明日の夕方来る旨を告げる。トランクをひとつ預けてから、レンタカーのオフィスまで歩いてゆく。イギリス人にしては愛想の良い店員から、フィアット・プントをあてがわれる。なかなかかわいい。英国をクルマで走るのは初めてだし、ロンドンの市街地をマニュアル・ミッション車で走るのも落ち着かないが、左側通行なので気は楽。ドライブルートを日本からネットで調べていたのだが、たちまちに見失って迷ってしまう。何とか高速道路への順路を見つけてひたすら飛ばす。予定よりやや遅れて、クマのプーさんの舞台ハートフィールド村に到着。


クルマを停め、村のメインストリートにある土産物屋“Pooh Corner”で早速グッズを買う。この店はもともとは雑貨屋で、本物のクリストファー・ロビンが買い物に来ていた由。確かに古い建物だ。買い物を済ませてから、いよいよ100エーカーの森に入る。Public Footpath即ち歩行者通路の標識に従って歩くのだが、極めて狭い獣道だったり、ただの野原にしか見えなかったりして戸惑うが、暫く歩いてゆくとプースティック・ブリッジに到着。妻とプースティックの勝負をする。地元の方の散歩コースなのか、飼い犬が橋の周りで遊んでいて、大きな犬がイーヨーさながらに川に浸かっているのが可笑しい。ミルン一家が住んでいて、後にブライアン=ジョーンズが買い取った家を探すがどうしても見当たらない。仕方なく一旦クルマに戻って、森の南部に向かう。プーがロビンから騎士に叙してもらい、ロビンが何もしないでいられなくなったことをプーに打ち明けた「魔法の森」を見て回る。風が強くなってくるが、自然に囲まれて楽しい。プーが発見した「北極」も探したかったのだが、道がない上に川を渡らなければならないことに気づいて断念する。昼食を取っていなかったので、”Pooh Corner”に戻って喫茶コーナーでクランペッツとスコーンを食べる。すっかり満足して、クルマで北上する。国道を走ること数十分、知り合いの家のあるオックステッドに到着。細い道の連続で迷いそうになるが、おぼろげな記憶を頼りにクルマをソロソロと走らせて、お宅に到着。ここに初めて遊びに来たのは9年前の1998年だったが、景色はまったく変わらない。クルマを停めると、知り合いの長男が出迎えてくれる。随分大きくなって声変わりもしているので戸惑う。知り合いの奥さんと次女がほどなく外から帰ってくる。幼稚園児だった次女も既に13歳。「かわいくなってるからって襲ったりしちゃ駄目だよ」と妻にからかわれる。知り合い自身はあいにく不在だったが、皆で歓待してくれる。料理好きな妻のために、近所のスーパーマーケットに案内して貰って買い物をする。奥さんがあれこれ解説してくれるので分かり易い。家に戻り、次女に折り紙を教えてあげたりする。長男は高校で日本語を習っていて、長女はマンチェスターの大学に進学したので家にはいない由。小さかった子供たちがここまで成長するのだから、僕自身も歳を取るわけだと思う。夕食を頂き、暫くお喋りしているうちに睡魔に襲われてきたので、床に就くことにする。長い一日が終わる。

クマのプーさんと魔法の森
クリストファー・ミルン 石井 桃子 Christopher Milne
岩波書店 (1977/01)
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