建軍以来、敗北を知らなかった日本軍がポツダム宣言を受諾した……のは実は前日(終戦の詔勅の日付は8月14日)なのだが、玉音放送の流れた今日が終戦記念日になっている。「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ…」で有名な詔書は、現在の官房長官にあたる内閣書記官長の迫水久常が起草したもので、それを陽明学者の安岡正篤が監督し、閣議での修正を経て、異例のことながら天皇陛下ご自身も朱を入れられて完成した。終戦工作に尽力した迫水書記官長のことを陛下は長く記憶されていたらしく、戦後迫水は参議院議員になり、国会議員が招かれる園遊会では片隅の決まった場所に身を置いて陛下と直接会話を交わすことはなかったが、迫水が亡くなった翌年、園遊会の会場で陛下が「いつも、あそこに迫水がおったね」と侍従長に語られた挿話が残されている。「どんなに小さな命にでさえ心をかける父がいる」というのはキリスト教の聖歌の一節だが、我が国にも同じように偉大な国父がいて、その血脈が2600年前からずっとこの国を護っていることを忘れてはならないと思う。夕方、フランス人研修生のために防衛省の方に来ていただき、会食の形で自由に歓談してもらうことにする。研修生たちの質問は鋭く、日本はなぜ核武装して朝鮮や支那に対抗しないのか、などといった発言も飛び出して一同たじろぐ。お開きになった後、フランス人たちがカラオケに行きたいというので直属上長と僕の4人で神保町に向かう。上長がなぜか郷ひろみを歌い出して面喰らう。タクシーでフランス人たちを送り届けてから帰宅。昔の友達から電話があり、結婚することになったと告げられる。ご同慶の至り。


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半藤 一利
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