週末なので、目覚ましをつけずにぐっすり眠る。昼頃にタクシーでチュニス市内に出かける。オンボロのゴルフでガンガン飛ばす。市内一の大通り、ベンガジ通りで降ろしてもらい、あてもなく市内をうろつく。雲ひとつない快晴で陽射しが強い。大通り沿いの煙草屋で、絵葉書と切手を売っていたので買い求める。店主は無愛想だが親切に「どこへ送る葉書か」と日本向け料金ちょうどの切手を出してくれる。土産物屋などが乱雑に立ち並ぶメディヌに近づくと、現地人がにこやかに「日本人だろう。俺はお前の泊まっているホテルのボーイだ」という。こちらに見覚えはないので極めて怪しいが、話を聞いていると、「今日はもう勤務がハネたので、お前を街に案内してやろう」とのたまう。



途中まで付き合うが、結末は恐らくぼったくりの土産物屋に招き入れられるのであろうから、「貴方のご好意には感謝するが、僕は昼食を取らねばならない。よってここでお別れしよう」と言って辞する。向こうはカモに逃げられた所為か、極めて残念な顔をしていたが、厄介ごとに巻き込まれるのは御免だ。事実、昼食がまだだったので、大通り沿いの店に入り、ケバブ肉のサンドイッチを頼む。サンドイッチといっても、ピタともナンともつかぬポケット型のパンに野菜と肉を放り込んだもので最近では日本でも売られているが、学生時代に、留学先のベルギーでこの味を知って以来、好んで食べている。地元住民しか来ないような店に日本人が入ってきたのが珍しいのか、店主と思しき初老の男性が親切に接してくれる。すっかり満足してメディヌにもう一度向かう。あちこちで土産物屋に声を掛けられるがあらかた無視する。最近は日本人観光客も多いのか、「コニチワァ、イラッタイマセェ」などと言ってくるのもいて可笑しい。手を振って断ると「サラ・バージャー」と言われる。現地語かと思っていたら「さらばじゃ」のことだと気づき、何処の誰がそんな言葉を教えたのかと首を傾げてしまう。それでも、いくつか土産物を買って、ホテルでの飲み水を買おうとスーパーを探す。しかし、そんな気の利いた店は存在せず、ドライフルーツを売っているちっぽけな店でミネラル・ウォーターとコーラを買う。あちこち歩き回った後、タクシーを拾ってホテルに戻る。30分以上かかるのだが、料金は8ディナール即ち800円ほどしかかからない。夕食はホテルで取ることにして、レストランに入る。羊のスープと鶏のクスクスを頼む。なぜかオニオン・グラタン・スープ が出てくるが、飲んでみると確かに肉のスープの味がする。どうやらこういうアレンジらしい。久し振りのクスクスは、物凄い量でとても食べきれないが、本場だけあって味は悪くない。

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