伝統のモナコ・グランプリで、トップタイムを叩き出していたミハエル=シューマッハの予選タイムが取り消しになりました。


Article from: Nifty F1ニュース(1)(2)
シューマッハは予選終了間際に自身のベストタイムを出した後、挙動を乱してマシンをコース脇に停めたところ、コース幅の極めて狭いモナコでは即座にイエロー・フラッグ(停まったマシンを片付けるため、全開走行は禁止される)が掲示され、他のマシンがアタック出来なくなってしまったというものです。この行為が、他者を邪魔するため故意にマシンを停めたものと判断されて予選タイムは剥奪、最後尾スタートが確定したものです。
F1の予選は、昨年までの1台ずつのタイムアタックから変わり、今年からは予選セッションを3分割して、最初の15分は全車が一斉に走りビリから5台が脱落、次の15分で更に5台がふるい落とされ、最後の20分はトップ10だけで最終予選を行うシステムになっています。セッションごとに一旦タイムはチャラになってしまうため、各セッション毎に良いタイムを出さなければならないのですが、自分がタイムを出した後に他人にアタックをさせなければ良い、というある意味で分かりやすい行為が問題になった次第です。
シューマッハの行為について、英国の英雄ジャッキー=スチュワート氏は、
「私が見た限り、あれは事故なんかではない。もとより私はこれまであんなシーンを一度もF1で見たことがないよ。それ以前に、誰もそんなことをしようとする神経を持った人間を見たことがない。」
と批難轟々。
また、1997年にシューマッハにコース上で故意にぶつけられながらタイトルを獲得したジャック=ビルヌーブは、
「あれはとても受け入れがたい行動だね。もっともそうでもしなけりゃ、7回のチャンピオン獲得なんてできないんじゃないの」
と歯に衣着せないコメントを残しています。

ドイツ人の現実―五十年のドイツ生活から
江沢 建之助
慶應義塾大学出版会 (2006/02)