朝7時に起床。ホテルの朝食は毎朝変わらないが、パンもコーヒーも美味しい。9時前の急行電車でゲントへ。駅から市街地までてくてく歩く。20分程歩いたところで、ようやく中心部へ。教会や、運河沿いの古びた街並みを眺め、フランドル伯の居城を見学。雨がパラつき始める。コーレン・マルクト広場にあるブラッスリーで昼食。妻は地元のワーテルゾーイ、僕はビフテキ。どちらも美味しい。食後のコーヒーを楽しんだ後、オランダ系日用品店のHEMAで買い物。お店を出ると晴れてくる。市電で駅に戻る。15時前の急行電車でブリュッセルに戻り、中央駅から歩いて ギャルリー・サンテュベールのハーゲンダッツでワッフルのアイスクリーム乗せを食べる。6年前、新婚旅行の折に食べ損ねたので是非とも味わってみたかったのだ。満足してからサン・ミッシェル大聖堂へ。名君と謳われた前国王ボードワンI世陛下が結婚式を挙げられ、また崩御の際には葬儀も営まれた場所であり、同国王の胸像が聖堂の前に建てられている。日本のご皇室とベルギー王室の親交の篤さはつとに知られており、聖堂内部には、ボードワン陛下の葬儀の際、天皇・皇后両陛下が最前列で葬儀に参列された模様が展示されている。当時(1993年)は自民党が下野するという政治の変動時期にあたり、このような際元首は国に留まるのが通例だが、この葬儀には特に出席されたい旨、天皇陛下ご自身から強いご要望があり、異例のベルギーご訪問が実現したという話を聞いたことがある。ベルギーは、ボードワン陛下の父、レオポルドIII世国王陛下が、第二次大戦の際反ユダヤ政策を取り、侵攻してきたナチス・ドイツに協力し国を捨てたとの一部国民の批判にさらされ、戦後、国民投票により信任を得たにも関わらず自ら退位してけじめをつけている。激動の時代を国民とともに生き、自らを律しようとした日本とベルギーの君主がお互いに親交を深めていったのは、いわば当然の成り行きであったのかもしれない。ボードワン陛下は若き日の 浩宮様(皇太子殿下)を「ヒロ、ヒロ」と呼び親しく接せられたと伝えられている。そんなことを思い返しながら、厳かな聖堂内部を見学して、デパートや洋服店の並ぶヌーヴ通りで買い物。City 2というショッピングモールに入る。留学から10年、内部がリニューアルされ随分垢抜けた。地下のスーパーで買い物をし、カードショップで絵ハガキやグリーティング・カードを買う。ホテルに戻って荷物を置いてから、ブーシェ通りまで歩いて、ムール料理の老舗“Chez Leon”で夕食。パリのレオンは一種のファミレスになってしまっているが、ブリュッセルの本店は、それなりの風格を備えている。店員も、周りのレストランのように変な愛想はなく、それでいて我々のような一見を卑下する態度でもない。ムール貝とサラダを分け合って食べる。美味しい。食後、市内を散歩して、ワッフルとアイスクリームを買ってまた食べる。ホテルに戻り、荷造りをする。


ブリュッセルより愛をこめて
オムニバス
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