朝7時過ぎに起きて、ホテルで朝食。国鉄で南駅に向かい、レンタカーのカウンターへ。受付には先客が1名おり、職員が1人でもたもたと対応している。ようやく自分の番になると、見た目よりはテキパキと仕事をしてくれ、最初の目的地までの行き方まで丁寧に教えてくれる。あてがわれた車はディーゼルのフォード・フィエスタ。フォード車を運転するのは初めてだが、プラットフォームは日本で乗ったこともある マツダ・デミオと同じ。日本では公害の元凶のように言われることもあるディーゼル車だが、二酸化炭素の排出量はガソリンエンジンよりも少なく、窒素化合物の排出対策さえしっかりしていればむしろ環境に配慮したエンジンなのだ、という話を聞いたことがある。確かにヨーロッパにはディーゼル車が少なくない。ベルギーを自動車で走るのは初めてということもあり、初めのうちは緊張するが、慣れてくれば楽しいドライブ。スピードの出しすぎを妻にたしなめられる。30分ほどで、ワーテルローの古戦場に到着。一番の激戦区だった場所に建てられたピラミッドにのぼり、かつての戦場の風景を眺める。次なる目的地デュルビュイへ向かおうとするが、決戦場前の国道が異様に渋滞していて焦る。が、すぐ先の交差点で空き始めて安堵する。高速道路と国道を乗り継いで、お昼過ぎにデュルビュイに到着。世界一小さな村として知られているそうだが、確かに小さい。駐車場として整備されている広場前のカフェで昼食。村を散策したのち、再びクルマを駆ってリエージュへ。この街にコインランドリーがないか、あてもなく探してみると国鉄ギユマン駅前に発見する。早速洗濯物を持ち込む。空き時間を利用して、友達への手紙をしたためる。乾燥に時間がかかるので、この間に市内に出ることにする。中心部の喫茶店で、リエジョワ即ちリエージュ風のパフェとワッフルを食べる。そうこうしているうちに乾燥が終わる時間になってきたので、引き取りに向かう。都会の街にクルマで来たことが災いして、あまりゆっくり滞在できなかった。が、こうやってやり残しがあればまた来たいという気持ちも生まれると自分に言い聞かせる。市中心部から少し外れにあるアンスカルフールへ。クルマで移動するからには、郊外の大型スーパーで買い物をしようと出発前に調べておいたのだ。日用品や食器や食材をたくさん買い込む。ファミレスの“Lunch Garden”が併設されていたので、ここで夕食を済ませてしまうことにする。値段の割に量も多くて美味しい。満足して店を後にする。ひたすら真っ直ぐな高速道路でブリュッセルへ。以前走ったパリもそうだったが、市内をクルマで走ったことがなくとも、道路の方向感覚自体は身についているので、たちまちにホテルに到着する。路上駐車して、妻が買い込んだ荷物を部屋に仕舞う。戻ってきた妻を乗せて、南駅近くのシェル石油で給油した後クルマを返す。中央駅まで国鉄に乗り、グラン・プラス近くのワッフル屋で、ブリュクセロワ即ちブリュッセル風のワッフルに、ピスタチオのアイスクリームを乗せたものを食べる。くたびれたが楽しい一日になる。


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