僕は性格が悪いせいか、ニュースが大きく流れるとそれで一体誰が得をするのかを考えてしまう。
以前ある航空会社が「50人に1人タダ」というキャンペーンを行ったことがある。対象区間で本当に50人に1人無料になったんで、新聞等の報道は好意的に取り上げていた。でも、冷静になれば50人中1人無料というのは100人中2人、つまり割引率は僅か2%ということなのだ。団体や早期予約等、値引きが当たり前の航空業界で2%引きというのは痛くもかゆくもない数字だろう。でもタダという言葉には物凄い魅力があって、関心を引きやすい。こういう、ウソやデマではないけれど本質は全然大したことのない騒ぎに、我々の多くは乗せられてしまいがちだ。
特定秘密保護法が成立して、これで政府が暴走できるようになった、暗黒の時代が来たといった言説が多く流れているけど、同法の趣旨は軍事、外交、安全保障、テロ対策に関する情報漏洩防止、つまりはスパイ行為への歯止めで、一般国民の日常生活には関係がない。というよりも、そんな機密情報の取扱にこれ迄罰則がなかったことが驚きではないか。
もっと言うと、同法は支那の不審船が海上保安庁の巡視船に体当たりしたビデオを同庁職員(当時)が流出させたことを憂慮した時の民主党政権(菅直人総理)が検討を始めたもの。
同党が今回反対票を投じているのは極めて奇怪だけど、「戦争に引きずり込まれる」「治安維持法だ」と騒ぐことで、何とかしてマスコミは安倍政権に悪評をたきつけたいのだろうと思う。10年前に個人情報保護法が成立して、国民の知る権利に制限がかかったと言えるけど、それで国民の多くが不利益を被ったという話は聞いたことがないし、更には当時のマスコミによれば1992年のPKO協力法でも日本は軍国主義に突き進む筈だったのにそうなってない。
他人が喧伝するまことしやかな言説に乗せられる前に、自分で考えることが必要ではないか。
集英社
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