F1カナダグランプリが開幕します。
2年前、ケベックを旅行したときにサーキットを歩いたことがあるのですが、思ったよりもコース幅が狭いなぁという印象がありました。また、国立公園内にあるので自然が豊かで、歩いていて気持ちのいい場所でした。1982年に早逝した故郷ケベックの英雄ジル=ヴィルヌーヴの名前を冠したこのサーキットのスタートラインには”Salut Gilles”(やあ、ジル)という文字が書かれています。「さよなら」でも「永遠なれ」でも「我らとともに」でもなく、「やあ」というシンプルな語りかけなのがいかにもニクいなぁと思います。今から10年前のことになりますが、1995年のカナダGPでジャン=アレジが、このサーキットでデビュー7年目にしての初優勝を遂げました。あこがれの英雄、フランス系カナダ人のジルと同じカーナンバー27のフェラーリを駆るフランス人のアレジが「やあ、ジル」のメッセージと接吻を交わしてチェッカーを受けた時に胸にこみ上げてきたものは、一体いかばかりのものだったでしょうか。今ではテレビのF1中継もろくに見なくなってしまいましたが、ヴィルヌーヴやアレジのような、エモーションを感じるドライバーやレース展開がなくなってしまったことが近年のF1をつまらなくしているような気がしてなりません。