なまじフランス語を知ってるものだから、自分のホームページをフランス語で飾ろうとする人たちって少なくないものだと思います。かく言う僕自身も数年前まで自分のホームページのナビゲーションにはフランス語を掲げていました。どうしてやめてしまったのかと言えば、正しい仏語表現を探すのに疲れてしまったことと、そこまでしたところで自己満足とひけらかし以上のものにはならないということを悟ったからです。しかしながら、色々なウェブサイトを見ていると、フランス語をふんだんに用いている方が大勢いらっしゃることに気づきます。僕が見てきた中で、これはおかしいんじゃないか、というものを幾つか挙げてみたいと思います。
1. Bienvenue au site de hogehoge
“Welcome to?”を直訳すれば前置詞はàなのかも知れませんが、フランス人はsurをよく使うみたいです。MacOSを起動すると”Welcome to Macintosh”と表示されますが、フランス語のシステムでは”Bienvenue sur Macintosh”となっています。ウェブサイトなりOSのデスクトップをバーチャルな世界の舞台と思えば”sur”を採る理由はおぼろげながら理解できます。
2. Page sous la construction
これも、”Under Construction”を直訳したのでしょうか。「工事中」を表す仏語表現としては”en chantier”という熟語がありますから、強いて用いるならこちらでしょう。ただ、出来上がってもいないページにリンクさせた挙句「工事中です」という仰々しい表示をするくらいなら、はじめからそんなページへのリンクは貼らないのが一番でしょう。一時的にページを削除しているような場合には、形容詞の”disponible”を用いる(Ce page est momentanement indisponible…)ほうがより自然な気がします。
3. Sur mon site
どうやら ”About my site”のことのようです。「?について」をsurで表現したがる方は多いのですが、僕の理解では、surはaboutと完全に同義ではなく、単に”sur mon site”では、「僕のサイト上には」という意味になってしまうような気がするのです。サイトを紹介するための表題であれば、単に”Introduction”あるいは、もう少し洒落て”Raison d’être”なんてした方がネイティブには理解してもらいやすいような気がします。
4. Revenue au menu
“Return to the menu”のつもりなのでしょうか…… “Revenue”は確かに英語のReturnに相当する単語ですが同じリターンでも、「収入」を意味する方の単語です。正しいフランス語は”Retour”ですね。また、”menu”は今でこそ「メニュー画面」を表すフラングレとして定着しましたが、フランス語本来の意味では食堂の定食のことを指す筈。となるとこれは「定食への収入」なる妙な標語(?)になってしまいます。フランス語で「ホーム」を意味する単語は”Accueil”ですから、単に”Accueil”という名詞を書いてあげれば単純にしてより明快に意味が通じるのではないかなぁという気がします。地下鉄の駅でも、”Sortie”(出口)とか”Correspondence”(乗り換え)といった単語が掲げてあるだけで、言わんとしていることがひと目で分かりますよね。
と、ここまで書いてみると、英語を無理やりフランス語に訳した結果、おかしな表現になってしまっているということに気がつきます。
本当にフレンチスピーカーに理解してもらいたいのであれば、実際にフランス語で書かれたサイトをもっとよく見て研究する気概が欲しいところです。