ソニー製品に憧れてきたノン・フィクション作家が、凋落の一途を辿るソニーの失敗の本質に迫る。
大賀典雄から出井伸之への政権交代と、その背後にあった映画会社買収に伴う大赤字。ハードとソフトの融合を掲げつつ、アップルに何一つとして勝てなかったソニー。そして、初の外国人トップ・ストリンガーの大迷走…
「『技術のソニー』というけど、ウォークマンとトリニトロン・カラーテレビ以降、どんな画期的な商品を開発したというんだ。何もないじゃないか」
高校生の頃、やはりソニー製品に深い憧れを抱き、自分の家を構えた時にはテレビやオーディオ機器をすべてソニーのもので統一して、LANC端子で連結して集中制御することを夢見ていた僕も、現実にはパナソニック製のテレビを買い、オーディオはiMacとiTunesで管理するようになっていた…
これまでにもソニーが抱える問題点について抱えた書籍は幾つか読んできたが、今日に至って、ソニーという名前以外に売りが何一つなくなってしまっている現実を、改めて突きつけられる思いをさせられる、ファンには少し辛い一冊。