今年は第1四半期(1月-3月)にして88冊の本を読んでしまった。もともとはベスト・ワーストをそれぞれ5冊ずつ選出するつもりだったけれど、順不同でベスト10冊、ワースト3冊とします。ワーストが少ないのはひとえに良書に恵まれたってことなんだけど、ベストを絞り込むのに悩みました。
【ベスト10】
- エバーグリーン(豊島ミホ・著)
中学の同級生同士の恋人たちが交わした淡い約束。10年後、あの日抱いていたお互いの夢がどうやって叶うのか、叶わないのか… - トモさんのえげれす留学(三笠宮寛仁・著)
ヒゲの殿下こと寛仁親王殿下が書かれた破茶滅茶な留学記。昭和天皇がご健在の1970年代にこんな本を出版してしまったこと自体が驚き。 - 赤と青のガウン(彬子女王・著)
寛仁親王殿下のご長女、彬子女王がオックスフォードで博士号を取得されるまでの留学記。上述書とは対照的な生真面目さで、異国での生活の充実ぶりを率直に綴られているのが興味深い。 - 不格好経営(南場智子・著)
マッキンゼーでコンサルをしていた筆者が突如IT起業に目覚め、経営の当事者になって初めて知る徒手空拳・七転八倒の毎日。 - 何者(朝井リョウ・著)
学生たちが直面する就活。何となく他人とは違う自分を演じ、ネット時代のコミュニケーションが当たり前になった若者たちの行き着くところは… 短篇『水曜日の南階段はきれい』の続きが少しだけ綴られているのがニクい。 - 記者たちは海に向かった(門田隆将・著)
東日本大震災で被災の当事者となった地元紙・福島民友新聞。津波の取材中に向かった記者からの連絡が途絶え、そして帰らぬ人となる… - 米内光政(阿川弘之・著)
風流人で読書家、酒に滅法強くて長身で女にモテて仕方がない海軍大将にして元内閣総理大臣・米内光政の生涯に迫る。 - UNTITLED(飛鳥井千砂・著)
平成版『胡桃の部屋』。親元から会社勤めをする31歳のOL。平和だった筈の家庭に、「我が家の癌」の弟が数年ぶりに帰ってきたことから色々なことが少しずつ軋み始めて… - 日本の朝鮮統治を検証する(ジョージ・アキタ/ブランドン・パーマー・共著)
「歴史修正主義者」を自認する筆者たち。韓国が主張する「世界に類を見ない過酷な植民地支配」という感情的なバイアスを、丹念な取材と資料の調査によって冷静に剥いでゆく。 - やさぐれるには、まだ早い!(豊島ミホ・著)
リクルートの”L25″の連載コラムをまとめた1冊。作家の眼から見たトーキョーや地元の景色や人間模様が興味深い。
【ワースト3】
- ドキュメント明仁天皇(千田夏光・著)
題名だけで読み始めてしまったんだけど、著書はあの千田夏光。軍籍もなく終戦時中学生だった今上陛下を題材にしているはずなのに、ことあるごとに従軍慰安婦の記述(!)が出てくる。すなわち、天皇の名のもとに従軍慰安婦が強制動員された(?)んだからその息子のアキヒトもその十字架を背負え(?)と延々書いてある。人の悪口は書きようによっては幾らでも書くことが出来て、何が何でも人を責めることはできる、ということを逆説的に証している。 - 綱の力(九重貢・著)
千代の富士の自慢話と、後進の批評で1冊こしらえました、というだけの本。 - Teamで安心を育てる(和田重恭・著)
ANAラーニングという全日空グループの会社の社長が書いた本。ごくありきたりの安全管理教則本の域を出ないけれど、もしもこの教育が本当に行き渡っているならば、全日空はさぞかし明るく理想的で何の問題もない職場であるに違いあるまい。
トモさんのえげれす留学 (1971年)
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三笠宮 寛仁
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